六本木のアミューズメントカジノで「ポーカーの負け代250万円」が支払えなくなった客が警察に駆け込んだ 店側は取材に「無銭飲食と同じ。必ず払ってもらう」

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1晩で500万円負けた後に起きた「修羅場」

 徐々に借り出し額は〈8000〉〈10000〉〈15000〉と吊り上がっていった。2時間くらいのペースで、80万円、100万円、150万円と負け続けていることを示している。明け方8時に最後に送った金額は〈7000〉で、店から帰ってきたメッセージは〈お渡し済み50000点〉。なんとAさんは1晩で500万円も負けてしまったのである。

「前日にも250万円負けていて、私が元々所持していた約400万円分のウェブコインや店内通貨は150万円くらいしか残っていませんでした。財布の中の現金は50万円ほどで銀行口座はほぼ空っぽ。300万円の支払いが足らなくなりました」(同)

 当然、待ち受けていたのは修羅場である。

 Aさんはオーナーに「後日分割で返すから待ってほしい」と伝えたが、「払わないと帰さない」「他の客はツケ払いや分割払いが可能だが君は無理、信用がないから」「必ず今日中に支払わなければダメ」と言われ、帰ることができなくなったと言う。

「警察に行って相談したいと申し出ましたが、『不利になるのはあなただし我々も面倒ごとは避けたい』と言われました。それから必死に親や兄弟、友人に電話し続けましたが、誰も300万円を用立てられる人は出てこなかった。『君が払えないなら親の名前と仕事先を教えろ、言わなくても警察に頼めば親の名前や住所、仕事先も教えてもらえる』『消費者金融やお金を作る方法ならいくらでもある』と店員やオーナーからそう強く詰められ続けました」(同)

取り返そうと別の店で勝負をしてしまった

 結局、Aさんは金を用意できず、免許証、社員証、保険証の写真や謝罪動画を撮られた上、1月末に50万円、2月末に100万円、3月9日に残りの額を支払う約束をして解放された。店を出た時には、ゲームを終えてから12時間くらいが経過していたという。

「2日ほぼ寝ずにポーカーをした後の出来事だったので、朦朧としていました。自宅に帰ってひとまず寝て、翌日から仕事を再開しましたが、手取り20万円の給料でどうやって300万円を用立てればいいか絶望的な気持ちになりました。何か助かる方法はないかと考え、3日後に麻布署に相談に行きましたが、担当した刑事は、『あの店は合法なやり方でやっているので 、 営業時間を守っていないことへの行政指導くらいしかできない』と言われてしまいました」

 そうこうするうちに最初の支払い期限の月末がやってきた。Aさんの親は経済的な余裕がなかったが、何とか頼み込み、50万円だけ用立ててもらって振り込み、危機を乗り切った。だが、今後を考えると憂鬱だった。1カ月後にはまた100万円の返済期限が控えているのである。

 そして、Aさんは再び愚かな過ちを繰り返してしまうのである。ポーカーで取り返そうと、消費者金融で用意した元手で他の店のポーカー大会に出場。約20万円をさらに失ってしまったのだ。しかもそれがXのオーナーにバレて、追及される“泣きっ面に蜂状態”に。
 
「丸2年くらいポーカー漬けの生活を送ってきたので、ポーカーに希望を見出してしまうバカな自分がいました」(同)

 最後の希望が絶たれ、2回目以降の返済の目処が全く立たなくなってしまったAさん。そんな時、知人から紹介されたある男性が思いもよらない解決策を提案してくれたのだった。

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