「素直に謝らない」フジ文化の象徴 退社しても変わらぬ笠井アナのズレっぷり

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 中居正広氏(52)の性暴力問題を巡り、「上納」なんてフジテレビに在籍した35年間で見たことも聞いたこともない、と言い切っていた笠井信輔アナ。ライターの冨士海ネコ氏は笠井アナの態度にこそ、フジ文化が表れていると分析する。

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 第三者委員会の報告によって、社内のセクハラの横行と情実人事の内情が明らかになったフジテレビ。お偉いさん男性の機嫌を取ることが出世の近道という社内文化の下では、あの軽薄なノリと選民思想こそが社員に求められる適性だったのかもしれない。

 そのノリと選民思想を感じる番組といえば、港前社長が全国区の知名度を得たとんねるずのバラエティーが思い浮かぶ。でもわたしは、初期の「情報プレゼンター とくダネ!」にもそのにおいを感じていた。故小倉智昭キャスターによる、「誰々のコンサートを見に行かせてもらって」「先代の社長にかわいがってもらって」といった、有名人やお偉いさんと太いパイプがある自分をちらつかせるオープニングトーク。そこに「実は僕も」とうれしそうにかぶせていくのが笠井アナだった。小倉さんを立てようという気遣いよりも、「オレだってエンタメ界ではかなり顔が利くぜ」と言いたげな子どもじみた自意識。うつむく佐々木恭子アナに同情したものだ。

 もともと盟友・軽部真一アナと「男おばさん」なるコンビを組み、エンタメ情報を語る番組を持っていたほどのミーハーな笠井アナ。2019年に退社したとはいえ、やはりその軽いノリは変わらない。先日はハンバーガー店で映画を見ていたところ、ワイヤレスイヤホンが接続されていないのに気付かず音漏れしていて隣の女性に怒鳴られた、という日常を描いたブログがプチ炎上。謝って「もう大丈夫です」と笑顔で話しかけたのに女性に完全無視された、都会人には心の余裕がないのかもうんぬん、という被害者ぶった書きっぷりに、イラっとした人は多かったようである。

 自分が悪いのだけれど、という割に、「うるさいんですけど」「完全無視」という相手側の言動に関する文字がデカデカと強調されている。テレビに出ているこのオレが、下手に出たのに何事か。笠井アナの文章からは、そんな優越意識も透けて見えるようだ。そして思うのである。自分の失敗を笑顔で受け止めてもらえなかったと機嫌を損ね、全世界に発信するような男性がいた会社では、そりゃあ若手の女性は「NO」を言いづらかっただろうな、と。

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