「代表は快進撃」でもJFAトップ「宮本恒靖」会長の経営手腕は…「200億円ビル」売却がなければ赤字の「サッカー協会」 クラファン、新ブランド立ち上げも消えない“財政不安”

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森保監督もスポンサー探し

 JFAの財政が逼迫したのはコロナ禍だけが原因ではない。その最中に天然芝、人工芝を2面ずつ持つ、サッカー日本代表トレーニング施設「夢フィールド」をオープンした(2020年6月)。「これには建物だけで42億円もの巨費がかかっている。ファンサポーターから2億円近い寄付も募った。確かに必要なものでありますが、これに加えてJFAでは女子サッカーのプロ化、Weリーグのスタートに向けて5年間10億円以上も“支援金”を予算に組んだ。これらの支出も大きかった。そこにコロナ対策で湯水の如く金が出て行き、JFAの財政は急速に冷え込みました」(前出・記者)。

 こうした状況を受け、宮本会長は、就任する際のマニフェストで「(財政の)建て直しは大事です。予算を組む時には一層の厳しさを持ってやっていく必要がある」と話している。しかし、実態はどうか。「JFAの職員は現在270人体制で動いています。2000年は200人程度だった。財政のやりくりが厳しいのに職員の数だけが右肩あがりに増えている」(同)。会長自身の報酬も2023年に3600万円にアップした。それを行ったのが、専務理事時代の宮本氏。「優秀な人材が来なくなる」とその理由を述べていたが、実際、年俸アップの恩恵を受けたのが他ならぬ自分自身ということになり、疑問の声も少なくない。

 日本代表・森保一監督もこの財政事情を知ってか「JFAのスポンサー探しに奔走しています。こんなことは歴代の代表監督はすることはありませんでした。今までは大手代理店(主に電通)におんぶに抱っこでしたから。しかし電通は東京五輪のスキャンダル以後、業界でのパワーも半減したと言っていい」(同)。

リーダーシップに疑問符

 こうした中で宮本会長のリーダーシップにも疑問符が付いている。マニフェストの一部だった2031年女子W杯の日本招致も、国際サッカー連盟(FIFA)にハシゴを外されて実現不可に。「宮本会長の下には、外部から様々な事業の提案が来る。それに乗って流行りのクラウドファンディングや、代表の新しいアパレルブランド事業も立ち上げたが果たして上手くいくのか」(JFA関係者)。

 もともと宮本会長は、「頭脳は明晰で、腹黒い部分は一切ありませんが、人が付いてくるタイプではない。ナルシストの傾向が強く、情熱で人を動かすことは苦手」(同)。そんな宮本がなぜ出世できたかと言うと、サッカー界のドン・田嶋幸三前会長の意向によるところが大きい。田嶋氏は次期JOC会長の最有力候補とも言われている実力者。「JFA会長の退任会見では、冒頭で“院政を敷くつもりはない”と述べ、記者をドン引きさせました。そのボスのお眼鏡にかなったのが宮本会長なのです」(同)。就任後も、「地方協会回りを優先させ、記者との懇談などは行ってこなかった。川淵三郎さんや田嶋さんは記者をオンレコ、オフレコ交えてコントロールし、様々な発信を図っていたのですが、宮本会長にはそうした姿勢は見られない」(同)。

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