ニュースサイトは「長文の記事を読めない若者」とどう向き合うべきか 欧米メディアが直面する課題と“意外な打開策”とは

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深刻な「読解力不足」

 ここで大きな壁となっているのが、「若者の文字離れ」だ。

「好調なエコノミストのような媒体でさえ、サブスク読者の平均年齢は55歳程度だと推測されます。紙媒体が約65歳だということを考えればマシなのかもしれませんが、依然として若年層の文字離れは深刻。スマホやSNSの普及で若い人の読解力が落ちていて、欧米でも高学歴の若者でさえ長文記事を読めません」

 一方で、

「若い人は長文記事に耐えうる読解力を持っていないからといって『優れたストーリーに触れたい』という欲求を持っていないわけではないのです。ドキュメンタリーやインタビューなど、物語性のある動画に若者も敏感に反応します。雑誌社の編集部は構造的に中高年が多くなってしまうのでしょうが、若い編集者もチームに組み入れて、若者に響きやすいような動画をつくっていく必要があるでしょう」

 そう“文章以外の活路”を説くのだ。

〈有料版の記事【「ジリ貧」の“オールドメディア”は生き残れるか 世界のメディア研究者が提言する「10%の知的エリート」に届けるサブスク戦略】では、文字離れが顕著な若者を引き寄せるための“もう一つの方法”や、新聞・雑誌系サブスクメディアの“成功例”と“失敗例”、ピチョッタ氏とニューマン氏による「日本のメディア業界への提言」などについて詳述している〉

湯浅大輝(ゆあさ だいき)
フリーランスジャーナリスト。同志社大学在学中に米アリゾナ州立大学へ交換留学。卒業後、記者としてのキャリアを開始し、経済メディア、小売専門誌を経て独立。教育、小売、海外スタートアップ、国際情勢、インフラなど多様なテーマを取材・執筆している。過去携わった書籍に『フリースクールを考えたら最初に読む本』(主婦の友社)、主な特集記事に「出生数75.8万人の衝撃」「奈良のシカ」(ともにJBpress)、「リニア 20世紀最後の巨大プロジェクト」(NewsPicks)、「精肉MDの新常識」(ダイヤモンド・チェーンストア誌)など。

デイリー新潮編集部

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