日枝氏と金光氏の静かなる権力闘争が始まった ホリエモンは株主総会でどう動くのか

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最後は誰もいなくなる?

 これでフジは本当に生まれ変われるのだろうか。なにしろフジの退廃の歴史は長い。1980年代から2000年代までに起こり、今なお伏せられている問題行為はいくつもある。有名制作幹部2人の不倫スキャンダル、経営陣1人と女性アナウンサーたちの飲み歩き、懲戒免職にした幹部の子会社への再雇用、違う経営陣とキャスター事務所との癒着疑惑――。

 表面化しなかった大きな理由は第3者委が問題視した広報の特殊性。不祥事の指摘は調べもせずに否定し、批判記事も嫌がった。これでは自浄作用が働きにくい。

 フジにとって好都合な記事ばかり書く記者やライターには便宜を図り、経済的利益も供与した。一方で批判する者は冷遇。痛恨となる記事を書いた者には訴訟をチラつかせながら恫喝した。

 読者や社会益のためでなく、フジのために記事を書け、という姿勢だった。ほかの一般的な上場企業の広報とは根本的に性格が異なった。これが「ほめ殺し」につながったと読む。

 一方、複数のフジ関係者は「FMHの新役員人事は6月にある株主総会で承認されない」と口を揃える。金光氏は会長に昇格できないし、清水氏は社長になれないというわけである。

 事実、FMH株を7.19%保有する米国ファンド「ダルトン・インベストメンツ」は第3者委の報告前に決められた新役員人事に強い不満を表明。金光氏と清水氏ら役員の降任を求めた。

「第3者委に指摘された経営責任を負う者が、新役員陣に残る意図が理解できない」(ダルトン)

 これにとどまらない。旧村上ファンド系の投資会社「レノ」がFMH株6.20%を保有していることが分かった。村上ファンド代表だった村上世彰氏(65)は2006年、フジの持株会社的存在だったニッポン放送株をめぐってインサイダー取引をしたとして逮捕・起訴され、有罪判決を受けた。この件について村上氏は不満らしいので、フジに好印象は抱いていないだろう。

 さらに資産運用会社「レオス・キャピタルワークス」もFMHの新株主で5.12%の株を持つ。藤野英人社長(58)もこれまでに何度かFMHとフジへの疑問を口にした。

「レノ」と「レオス」には共通点がある。ホリエモンこと堀江貴文(52)との結び付きだ。両社が連携すると見る向きは多い。

 株主総会が終わるまで緊張状態が続きそうだ。

高堀冬彦(たかほり・ふゆひこ)
放送コラムニスト、ジャーナリスト。1990年にスポーツニッポン新聞社に入社し、放送担当記者、専門委員。2015年に毎日新聞出版社に入社し、サンデー毎日編集次長。2019年に独立。前放送批評懇談会出版編集委員。

デイリー新潮編集部

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