本命は「シェフラーかマキロイ」でも「松山英樹」は不気味なダークホース 2025年のマスターズはどうなる?

スポーツ

  • ブックマーク

マキロイが取り組むべきはメンタル面の保ち方

 すでにオーガスタ・ナショナルで練習ラウンドを行ったマキロイは、「4つのグリーンに小さな変化が見られたが、それ以外は、コースはほとんど変わっていない」と語るなど、準備万端の様子である。

 ただし、不安材料がないわけではない。3月下旬のテキサス・チルドレンズ・ヒューストン・オープンでは、右ひじに違和感を覚えていたことを明かした。

 また、ここ2年ほど愛用していたテーラーメイドのQi10を今年3月にQi35に持ち替えたものの、「やっぱり以前のクラブのほうがいい」と思い直してQi10に逆戻り。さらには「スピンがかかりすぎる」とのことで、ドライバーのロフトを微調整した。

 大事な大会直前にギアに変化を加えることは、なかなかリスキーで、良かれと思って行ったチェンジが肝心なときに裏目に出ることは多々ある。度重なるギアのチェンジや調整は、ナーバスになっていることの表れだと見る向きもある。

 2011年の大崩れによるトラウマが、マキロイの悲願を阻む最大の障壁なのだとすれば、彼が取り組むべきはメンタル面の保ち方であり、マインド・コントロールできるかどうかがカギになりそうである。

日本のエース、松山の調子は?

 日本のゴルフファンの期待は言うまでもなく、日本のエース、松山英樹に向けられている。2021年マスターズを制した松山は、今ではPGAツアー通算11勝を誇り、世界ランキング6位の大物選手となった。

 今季はシーズン開幕戦のザ・セントリーで勝利し、幸先のいいスタートを切った。しかし、その後はトップ10入りが無く、果たして調子はいいのか、悪いのか。

 とはいえ、2021年の春先も松山の成績は今季同様、トップ10入りが無く、振るわない状態だった。それなのに、マスターズを制し、グリーンジャケットを羽織った彼を目にして、驚かされた人々は少なくなかっただろう。

 PGAツアー参戦開始から早10年超。長きにわたって第一線で戦い続け、いまなお勝利を重ねる松山の息の長さは、日ごろの鍛錬と努力の賜物。それを可能ならしめているメンタル面の強靭さも並大抵ではない。

松山は常に不気味なダークホース

 しかし、今年のマスターズ優勝予想では、松山は冒頭のブックメーカーのオッズでは9位、米誌「ゴルフダイジェスト」の優勝予想では11位と、いずれも低めにとどまっている。

 松山は多くを語らないせいか、米メディアは正確で興味深い松山情報を得ることに苦心している。その影響もあるのだろう。マスターズでも他の大会でも、松山が優勝候補の上位にランクされることは、あまりない。

 だが、下馬評がどうであれ、ひたひたと勝利ににじり寄る松山は、常に不気味なダークホースと言っていい。

 今年のオーガスタ・ナショナルで見られるのは、予想通りの展開か、それとも予想外の驚きの展開か。ベテランもダークホースも伏兵も、誰もが虎視眈々とグリーンジャケットを狙っている。

舩越園子(ふなこし・そのこ)
ゴルフジャーナリスト/武蔵丘短期大学客員教授。東京都出身。早稲田大学政治経済学部経済学科卒。1993年に渡米し、在米ゴルフジャーナリストとして25年間、現地で取材を続けてきた。2019年から拠点を日本へ移し、執筆活動のほか、講演やTV・ラジオにも活躍の場を広げている。『王者たちの素顔』(実業之日本社)、『ゴルフの森』(楓書店)、『才能は有限努力は無限 松山英樹の朴訥力』(東邦出版)など著書訳書多数。1995年以来のタイガー・ウッズ取材の集大成となる最新刊『TIGER WORDS タイガー・ウッズ 復活の言霊』(徳間書店)が好評発売中。

デイリー新潮編集部

前へ 1 2 3 次へ

[3/3ページ]

メールアドレス

利用規約を必ず確認の上、登録ボタンを押してください。