「怒りを覚えた」トランプ氏がロシア産原油を巡る「関税宣言」 鼻っ柱を折られたプーチン氏は停戦を受け入れるか

国際

  • ブックマーク

継戦能力が大打撃を被るのは確実

 ロシア政府の原油価格下落シナリオは現実化の可能性が低いが、同国の原油輸出は大幅に減少するリスクがある。

 バイデン前政権は1月、ロシアが制裁逃れに使っていた「影の船団」ことタンカー183隻を制裁の対象にした。これにより、大口の買い手だったインドと中国がロシア産原油に難色を示し始めている。

 トランプ氏はロシアに好意的な態度を示してきたが、3月30日、ウクライナのゼレンスキー大統領の正当性を疑問視するプーチン氏の発言を「怒りを覚える」と批判し、ロシアが停戦に合意しなければ、ロシア産原油の買い手に対して1カ月以内に25~50%の関税を課すと警告を発した。これが実施されればロシアの原油輸出量は大幅に減少し、継戦能力が大打撃を被るのは確実だ。

 トランプ発言に対するロシア側の対応は明らかになっていないが、鼻っ柱をへし折られた形のロシアがウクライナとの停戦交渉に前向きになることを祈るばかりだ。

藤和彦
経済産業研究所コンサルティングフェロー。経歴は1960年名古屋生まれ、1984年通商産業省(現・経済産業省)入省、2003年から内閣官房に出向(内閣情報調査室内閣情報分析官)。

デイリー新潮編集部

前へ 1 2 3 次へ

[3/3ページ]

メールアドレス

利用規約を必ず確認の上、登録ボタンを押してください。