アニメ・ポケモン「サトシ」卒業から2年 松本梨香が語る“海外オファー殺到”の現在と“晴明神社への歌奉納”

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京都・晴明神社にセリフと歌を奉納 「みんなを笑顔にしたい時、私を使ってください」

 2016年に、所属していたサンミュージックから独立した。現在、同社とは業務提携を結んでいるが、独立当時は仕事や人間関係で悩んだ時期があったという。

「落ち込んで、自分は何をすべき人間なのかを考えました。その時、私は自分が表現することによって、子供も大人もみんなが笑顔になることをしたい。エンターテインメントを通して世界中に愛と笑顔を届けたい。これからはそのために生きよう、改めてそう強く決意したんです」

 かねてより松本は「まんまるの笑顔の輪をつなげたい」というコンセプトの「まんまるプロジェクト」を行っており、被災地などで活動してきた。この時に人生の大きな“柱”を再確認。悪い流れを断ち自らの意志を固めようと、京都に向かったという。

「2年ちょっと前かな。晴明神社にセリフと歌を奉納したんです」

 晴明神社は京都市上京区に鎮座し、平安時代の陰陽師「安倍晴明」を祀っている。魔除け、厄除けにご利益があるとされる。ここ訪れた松本は、

「神前でセリフを言って、『めざせポケモンマスター』を歌いました。伴奏?もちろんありません。アカペラです。緊張して、ちょっと歌詞を間違えちゃったんですけどね(笑)」。

 イベントでも何らかの企画でもなく、全く個人的に神社を訪れ、祈祷料を払い、セリフと歌を奉納させてもらったというのだ。居合わせた人は幸運にも、松本の生歌を聴くことができたわけだ。

「その場にいた人はみんなびっくりしたと思います(笑) お祓いを受けながら、これから神様が子供やみんなを笑顔にしたり、元気づけたいと思った時は、私を使ってください、とお願いしました。だからどれだけ忙しい、疲れた、辛い、苦しいって時も、“私、神様と約束したよな”と思い出して頑張れています」

 晴明神社を選んだのは友人に勧められてのことで、特に神道に帰依しているわけではないという。

「特定の宗教を信じているわけではないんです。ただ、強いて言うなら、舞台の神様、エンタメの神様はいると思っていて、真摯に向き合わなければいけないという気持ちはすごくあります」

夢は世界的な大会で国歌斉唱

 ポケモンから離れた今、次なる目標は……と聞くと。

「漠然とですが、特撮作品に出演していた曽我町子さんみたいに代々語り継がれるような名悪役をやってみたいです。それと、パラリンピックで国歌斉唱したいんです」

 背景には、若くして亡くなったひとつ年上の兄・彰さんの存在がある。舞台「雨」の公演が始まった直後に心筋梗塞で倒れ、帰らぬ人となってしまったという。

「兄は障害があり、体が不自由でした。天真爛漫でいつもニコニコ。穏やかで優しく、松本家の癒しの存在でした。舞台が決まったことを本当に喜んでくれて、近所の商店街の店を一軒一軒回って私が出演する舞台のチラシを配ってくれたんです。大好きなあんちゃんがいたから今の私があると思っています。いつかパラリンピックで歌い、あんちゃん孝行をしたいんです」

 再び日本でオリンピック・パラリンピックが開催される日まで、その夢を諦めることはない。

松本梨香(まつもと・りか)
神奈川県 横浜市出身、11月30日生まれ。5月25日にはデビュー40周年記念コンサート「40th Anniversary Live ~梨香ZANMAI~」を横浜市南公会堂で開催。開場16時。開演17時。

華川富士也(かがわ・ふじや)
ライター、構成作家、フォトグラファー。記録屋。1970年生まれ。長く勤めた新聞社を退社し1年間子育てに専念。現在はフリーで活動。アイドル、洋楽、邦楽、建築、旅、町ネタ、昭和ネタなどを得意とする。過去にはシリーズ累計200万部以上売れた大ヒット書籍に立ち上げから関わりライターも務めた。

デイリー新潮編集部

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