3年間の単身赴任から戻ると「わが家」に違和感… 51歳男性が「やめろ」と言った長男の趣味

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“生理的嫌悪感”

 妻は驚いたような顔をして彼を見た。「男が手芸を楽しんだらいけないの? 有名な編み物の先生だって、デザイナーだって男性は多いじゃない」という妻の言葉に、彼は反論できなかった。ただ、生理的に長男が手芸をしているのが嫌だったのだ。

「娘がキックボクシングをしていると聞いたときと同じような感覚ですかね。ただ、娘についてはケガをしたらどうするんだという思いが強かったけど、長男の手芸はもうちょっと生理的嫌悪感を覚えましたね、正直言うと」

 それでも長男の進路には、それ以上口を挟まなかった。もう18歳なのだから、自分で考え、自分で苦しんで自分で決めるしかないのだ。

「僕には夢があったんですよ。20歳になった子どもと一緒に外で酒を飲むこと。長男が20歳になってすぐ、その夢を彼に伝えました。長男も『大人への第一歩だね』とうれしそうだった。そこで、仕事で利用することがある小料理屋の小上がりを予約したんです」

 その小上がりで、長男の20歳を男親として祝いたかったその場で、長男は思いきったように告白したのである。

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 3年間の空白が生んだ家族との距離感……【記事後編】では祐司さんの人生を狂わせたという告白が明らかになる。

亀山早苗(かめやま・さなえ)
フリーライター。男女関係、特に不倫について20年以上取材を続け、『不倫の恋で苦しむ男たち』『夫の不倫で苦しむ妻たち』『人はなぜ不倫をするのか』『復讐手帖─愛が狂気に変わるとき─』など著書多数。

デイリー新潮編集部

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