マー君に“魔改造”を施す名伯楽の素顔 岩隈、藤川を育て菅野を復活させた凄腕

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 今、「魔改造」という言葉が俄然、スポーツマスコミを賑わせている。日米通算197勝の田中将大投手は、2023年10月に右肘のクリーニング手術を受けた影響もあって、昨年は1軍登板がわずか1試合。日米を通じプロ18年目にして初めてシーズン0勝に終わり、楽天を退団した。限界説もささやかれる中、初めて巨人のユニホームに袖を通すと、宮崎キャンプでは初日から66歳の名伯楽・久保康生巡回投手コーチに手取り足取り、マンツーマン指導を受けている。田中本人も近年になく表情が明るい。

「感触はめちゃくちゃいい」マー君に笑顔が戻った

「魔改造」は久保コーチの代名詞だ。宮崎キャンプでは、マウンドの傾斜を逆に使い、田中に下から上へ向かう形でボールを投げさせるなど、一見不思議な指導も行っている。当面の狙いは、体を縦に使えるよう修正することにあるという。田中の腕の振りが加齢とともに横振りになり、それに伴って肘も下がり、腕の軌道が遠回りしていたためだ。田中も「投げている感覚がめちゃくちゃいい」と笑顔だ。

「2023年に4勝8敗と不振を極めた菅野智之投手を、付きっ切りで指導し、翌2024年に15勝3敗と劇的に復活させ、結果的に海外FA権を行使してメジャーリーグに挑戦するまでに仕上げたのも、久保コーチです。菅野は『久保さんがいなかったら、自分はここにいない』と感謝しきりです。久保コーチはもともと、原辰徳前監督に招かれ、2022年に巨人入り。本人は原さんの退任とともに身を引くつもりでしたが、新たに指揮を執ることになった阿部慎之助監督たっての希望で引き止められ、菅野の再生を任されたそうです。そして今度は、田中の復活を担っているのです」(スポーツ紙巨人担当記者)

 久保コーチは現役時代、近鉄、阪神で通算21年のプロ生活を送り、通算550試合71勝62敗30セーブ。現役最終年の1997年、ドラフト2位で日本通運から近鉄に入団してきた大塚晶文(現中日巡回投手・育成コーチ)にアドバイスを送り、リリーバーとして活躍に導いたことが、指導者として歩み始めるきっかけとなった。

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