2025年セ・リーグの「球団別戦力」を3段階で評価! 補強で「勢力図」に逆転はあるのか、それとも“格差”が広がるのか

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既存戦力の退団が痛いヤクルト、ドラ1が頼りの中日

<ヤクルト> 
総合評価:C
新人:B
移籍選手:B
新外国人:B
既存戦力の退団:C

 セ・リーグ連覇から一転して、2年連続で5位に沈んでいるヤクルト。最大の弱点は投手陣であるが、オフに十分な補強ができたとは言い難く、総合評価はCとした。

 不可解だったのが、既存戦力の退団だ。先発投手として120イニング以上を投げていたヤフーレとサイスニード、リリーフで結果を残したロドリゲスが揃って退団した。今季は、ランバート(前ロッキーズ)とバウマン(前マーリンズ)というメジャーで実績がある投手を補強したものの、日本球界で通用するかは未知数で、今回の補強戦略は、リスクが大きいように感じる。さらに、リリーフで活躍した今野龍太を金銭トレードで楽天に放出した判断にも疑問が残った。

 投手陣は、中村優斗(愛知工業大、1位)や荘司宏太(セガサミー、3位)、現役ドラフトで獲得した矢崎拓也(前広島)が戦力になりそうだ。ただし、中村はコンディション不良で出遅れており、無理は禁物だろう。

 FAで獲得した内野手の茂木栄五郎(前楽天)は、ここ数年の成績とチーム事情を考えると、そこまでプラス材料になるようには感じられない。むしろ若くて、二軍で結果を残していた、内野手の小森航大郎が、人的補償で楽天に移籍したマイナスの方が大きかったのではないだろうか。外国人投手と矢崎が、どこまで戦力になるか、シーズンのカギを握りそうだ。

<中日>
総合評価:C
新人:A
移籍選手:C
新外国人:B
既存戦力の退団:C

 主力選手の退団が相次ぎ、その穴を埋めきれていないと判断して、総合評価はCとした。先発投手は、昨季、チームトップのイニング数を記録した小笠原慎之介がポスティングシステムを利用して退団。絶対的守護神だったライデル・マルティネスが巨人に移籍している。前年の最下位球団から先発と抑えの柱が揃って退団となれば、厳しい戦いを強いられそうだ。

 先発やリリーフでチームを支えた福谷浩司がFAで日本ハムに移籍したほか、長年、打線の中軸を担ったビシエドも退団している。今季は、左腕のマラー(前アスレチックス)と右腕のウォルターズ(前ナショナルズ)、内外野を守れるボスラー(前マリナーズ)を獲得したものの、日本球界で通用するか、不透明な状況である。キャンプイン後にはメジャーで102試合のリリーフ登板の経験を持つマルテ(前フィリーズ)の獲得も発表されたが、マルティネスの代役としては荷が重い印象だ。

 唯一、Aと評価したのがルーキーだ。大きなプラス材料は、ドラフト1位で獲得した金丸夢斗(関西大)で、コンディションさえ万全ならば、1年目から先発ローテの一角となり、大きな戦力となるだろう。

 捕手の石伊雄太(日本生命、4位)は守備力が高く、正捕手争いに食い込めるか。もう一人面白そうな新戦力が、ソフトバンクを自由契約となって育成契約で獲得した、左腕の三浦瑞樹だ。昨季は、二軍で最優秀防御率のタイトルを獲得しており、早期に支配下に昇格する可能性が高い。

 現時点(2月7日時点)では、昨季の上位球団が補強に成功し、下位球団との格差が広がったと言わざるを得ない。果たして、シーズンも戦力分析の結果が反映されてしまうのか、下位球団の逆襲があるのか。

西尾典文(にしお・のりふみ)
野球ライター。愛知県出身。1979年生まれ。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間300試合以上を現場で取材し、執筆活動を行う。ドラフト情報を研究する団体「プロアマ野球研究所(PABBlab)」主任研究員。

デイリー新潮編集部

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