2025年セ・リーグの「球団別戦力」を3段階で評価! 補強で「勢力図」に逆転はあるのか、それとも“格差”が広がるのか
いよいよキャンプインしたプロ野球。どの球団もオフには様々な動きがあったが、果たして、有効な補強をできた球団はどこだったのか。「ドラフトで指名した新人選手」、「FAや現役ドラフトなどの移籍選手」、「新外国人選手」、「既存戦力の退団」の4項目について、A、B、Cの3段階で評価したほか、総合的な戦力の診断を行った。なお、全ての項目において、来季以降の戦力ではなく、あくまでも今季の戦力になるかという点を評価ポイントとした。今回は、セ・リーグ編だ。【西尾典文/野球ライター】
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移籍選手に期待の巨人と、変化に乏しい阪神
<巨人>
総合評価:A
新人:B
移籍選手:A
新外国人:B
既存戦力の退団:C
まず、オフの主役と言えるのが巨人だ。投手では、中日の絶対的クローザーだったライデル・マルティネスを獲得。昨季まで抑えを務めていた大勢も力は十分で、終盤の戦い方は一気に楽になった印象を受ける。エース菅野智之の退団はマイナスだが、実績十分の田中将大(前楽天)が加入したことも大きい。
野手は、ソフトバンクの正捕手だった甲斐拓也を獲得。大城卓三や岸田行倫がいるなかでのFA補強に疑問の声が出ている。サードの坂本勇人が、年齢を重ねて、1年を通じての活躍が難しくなっている。それを考えると、捕手に甲斐を据えて、打撃が良い大城をファースト、岡本和真をサードに配置するオプションをとりやすくなる。
新外国人は、27歳と若く、マイナーでの実績がある外野手のキャベッジ(前パイレーツ)を獲得した。外国人枠の事情もあって、出番は限られそうだが、野手の層はさらに厚くなった。
また、ルーキーは、ドラフト2位の浦田俊輔(九州産業大)が内野のバックアップ、5位の宮原駿介(東海大)がリリーフでそれぞれ戦力になる可能性がある。トータルで見ても、大きな上積みと言えそうだ。
<阪神>
総合評価:B
新人:B
移籍選手:C
新外国人:C
既存戦力の退団:B
オフの動きで評価できる点が、FA権を取得した主力選手の放出を防いだところ。特に、主砲の大山悠輔は、打撃成績以上に存在感があるだけに、残留は大きい。長らくローテの一角を担ってきた青柳晃洋が、ポスティングシステムで退団したとはいえ、過去2年間は成績を落としていただけに、そこまで大きなマイナスにはならないだろう。
ただ、新戦力の獲得という側面では、そこまで大きなプラスはない。昨季は、ノイジーとミエセスの両外国人野手が機能せず、連覇を逃した一因になったが、オフに支配下で獲得した外国人野手はヘルナンデス(前モンクローバ・スティーラーズ=メキシコ)のみだ。
ヘルナンデスは、マイナーリーグでの実績もほとんどなく、メキシカンリーグでのプレーがメインだった。過剰な期待はかけづらい。
現役ドラフトで獲得した畠世周(前巨人)、ドラ1ルーキーの伊原陵人(NTT西日本)は、一軍での期待がされる一方で、野手陣は、DeNAを自由契約となった外野手の楠本泰史が加わった程度で、昨季と変わらない布陣での戦いとなる可能性が高そうだ。シーズン開幕までまだ時間はあるだけに、キャンプの結果次第では、新たな補強に動くことも検討すべきだろう。
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