いま誰よりも「一票の重みを知る男」を直撃 市議選で最後の議席が同数…「くじ引き」の結果に本人は納得しているのか

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混ぜたほうがいいんじゃない?

 抽選ではまず、予備抽選を行い、本抽選の順番を決める。【1】から【10】の数字で“若い数”を引いた方の勝ちである。届け順に予備抽選で原氏は最初にくじを引いたが、まさかの【1】。最高の数字が出た。一方、相手の古田氏は【10】。よって本選は原氏からくじをひく。出た数字は【8】。この瞬間、原氏は複雑な気持ちになった。同氏の父親の名前は「大八」。果たして【8】は縁起が良い数字なのか悪いのか…。しかし、原氏が勝つには古田氏が【9】か【10】を引くしかない。そして古田氏が引いたのは【4】。まさに人生を変える深夜の決戦はこうして幕を下ろした。

 原氏はその後様々な思いにさいなまれるようになった。議員活動や高校生の支援活動よりも、もっと支援者づくりという「選挙対策」に比重を置くべきなのか…。いや、それは正しいことなのか…。正解は分からないのに正解を求める思考状態である。たとえばくじ引き一つとっても予備選で【1】を引いたわけだから、本選でも【1】のある場所は見当がつく。というのも、抽選棒をくじ引きの箱に入れた人が予備選の後、抽選箱をまったく混ぜていなかった。それを遠巻きに見ていた市役所職員が、原さんがくじを引く直前になって「混ぜた方がいいんじゃない?」的ゼスチャーをしたのを見ていたからだ。

若者を応援する議員は原さんしかおらん

 原氏はこれにピンときた。オレは【1】の場所が大体分かっているから、【1】をまた出せるかもしれない、と一瞬悪魔の囁きに負けそうになった。いや、それは相手に対して卑怯だ、えぇい、混ぜよう! となり【8】が出た。そこから「一票の重さ」を原氏は様々な人からの報告で改めて実感する。

 過去に一緒に活動をした生徒(現在は唐津市外在住の大学生)から泣きながら電話が来て「私がもっとたくさんの友達に連絡しておけばよかったです!」と言われた。高校生とのLINEグループに「オレを慰めてくれ。お菓子が食べたい」と書いたら、続々と彼らがお菓子を持ってきてくれた。過去に一緒に活動した生徒(現在は東京の大学生)の父親は、選挙には行けないまでも友人への電話がけやLINEでの原氏への投票呼びかけをしなかった娘にこう怒った。

「若者支援をする議員は原さんしか唐津におらん! お前はちゃんと選挙活動を東京からやったか!? 唐津に残る友達は大勢いるだろう。そういった人々に原さんがいかに唐津のために、若者のために貢献しているかを説明しなかっただろう!」

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