なぜ「小中高生の自殺」は過去最多を記録したのか…専門医が明かす「SNSは諸刃の剣」「生徒が伸び伸びしているのはむしろ名門進学校」という“格差社会”の現実

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格差社会の象徴

 ここで気になるのが、先に岩波医師が「本当に生徒が伸び伸びしている中学は、ごく少数のエリート校に限られています」と指摘した点だ。

 いわゆる名門進学校は私立校が中心のため学費が高い。東京都では高校授業料の実質無償化が進んでいるとはいえ、そもそも通塾費など中学受験対策には相当な費用が必要だ。結果として富裕層の子供たちが合格、入学する率が高い。

 一方、「保育園にも幼稚園にも通っていない子供」のいる家庭の中には貧困に直面しているケースが珍しくないのは前に見た通りだ。裕福な家庭の子供たちがストレスの少ない学校に通い、そうではない家庭の子供たちは小学校や中学校でストレスに悩まされるという状況は、これも“格差社会”を象徴した現象だと考えられるだろう。

「保育園と幼稚園の改善から始め、その成果を小学校、中学校、高校と下から上に持ち上げていくべきなのです。高校生を対象にした教育改革の前に、小学校、中学校のクラスの人数を欧米並みに少なくして、子供に対して個別対応ができる体制をとる必要があります。改めて認識してもらいたいことが、親世代の学校より、今の子供たちが通っている学校はストレスが強いのです。『無意味な学校のルール』を廃止するとともに、行政においては、いじめ、不登校とひきこもりの問題について本気で取り組むことが求められます」(同・岩波医師)

健全ではないがリアルなつながり

 専門医が“諸刃の刃”と指摘したSNSだが、令和の子供たちはスマホを通じたコミュニケーションをどう捉えているのか。その実態については、関連記事【「“会ったその日に行為”が18%」「別のグループの人と付き合うのは無駄」衝撃のレポート コロナ、スマホで学校はどう変わった?】で詳報している。

◆24時間子供SOSダイヤル(0120-0-78310)
◆法務局ほうむきょくLINEじんけん相談(@linejinkensoudan)
◆いのちの電話(0570-783-556)

註:10代前半の自殺、100年ぶりの高水準に。その要因は(Yahoo!ニュース個人・石井しこう氏の署名原稿:2019年10月7日)

デイリー新潮編集部

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