「腹違いの弟」が女性を連れて現れ…49歳夫の幸せな家庭は壊された 「10年後、妻と笑い話にできるかどうか」

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タクシーから見たまさかの光景

 ようやく葉子さんが落ち着き、仕事先に友人もできたという話を聞いてホッとしたのが1年前。実はこんなことがあったと紗織さんにすべてを話そうとした矢先、隆正さんは急いで移動するために乗ったタクシーの中から、紗織さんと弟が歩いているのを見かけた。たまたま交差点で止まっているときだったから、見間違えるわけがない。ふたりは妙に寄り添い、繁華街のホテル街へと消えていった。

「思わずタクシーを降りようとしましたが、降りたら仕事先の約束に間に合わない。今、自分が何を見たのか、判然としないままだった。なんとか仕事を終えて、紗織に電話をしてみたら留守番電話になっている。それから何度かけてもつながらない。会社に戻ってからかけてもダメで、その日は残業の予定を中止して定時で帰宅しました」

 妻はまだ帰っていなかったが、義母が夕飯を作ってくれていた。「あら、今日はふたりとも残業だと聞いたから来たんだけど」と言うので、あわてて予定が変わりましてと無理に笑った。

「いいわよ、私が作っていくからと義母は言ってくれました。高校生の息子たちは部活で遅いんです。妻はまだ帰らない。僕は何度も義母に昼間見た光景を話しそうになりましたが、証拠もないのに言ってはいけないと自分を抑えました」

ようやく妻が帰宅したが…

 義母が帰ると同時に、息子たちが相次いで帰宅したが、妻はまだだ。3人で夕食をすませてテレビを見ながら話をし、息子たちは入浴したり自室に引き上げたりしていった。ようやく妻が帰ってきたのは、夜11時を過ぎていた。

「妻の帰宅が遅くなるのは、それが初めてではありません。もともと残業がけっこうある仕事だとわかっていたし、家に仕事を持ち帰ることもあった。だけどその日だけは帰宅した妻をしみじみと眺めてしまいました。なんだか目がキラキラしていて、いつもの仕事帰りとは違うような気がして……」

 昼間、どこにいたと思わず言ってしまった。妻は聞こえなかったのか、「え?」と振り向いた。いや、いいと隆正さんは口を濁した。

葉子さんからの連絡

 どうしよう、どうしようと思いながら言い出せずにいたある日、葉子さんから連絡があった。

「久しぶりに会ったら、とても落ち着いてニコニコしていて。どうしたのと聞いたら、弟とヨリが戻ったというんですよ。なんだそれ、ですよね。『あの人はダメなところもたくさんあるけど、お義母さんのことがなければ私はやっぱり彼が好きなんです』って。再婚はしないけど、今は彼と恋人関係を続けているというんですよ。え、じゃあ、紗織はどうなるんだ、と僕は混乱してきました」

 混乱すると同時に、弟に対して猛烈に腹が立っていった。義姉と関係をもちながら、元妻とヨリを戻すなんて、と。「あいつにバカにされた気がした」と思った隆正さんは、妻を追いつめるより先に、弟に会おうと決めた。

「弟に会うと、彼は『ごめん、葉子とヨリを戻した。おふくろには黙っているけど』って。わりと屈託のない顔をしていたので、妻とのことは僕の勘違いかとさえ思った。今日は絶対に納得しないと帰らないと決めていたので、葉子さんとの話が途切れたところで、『紗織とはどういう関係なんだ』と一気に攻めました。弟の顔色がさっと白くなった」

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