合法化のせいで「違法大麻が蔓延」する皮肉な理由 大麻を合法化したNYでいま何が起きているのか

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第1回【NY州では“前科”を抹消…「大麻合法化」で社会はどう変わるのか 販売ライセンスに税金、罰則について元マトリ部長が徹底解説】の続き

〈ゆっくり、そして少しずつ〉

 21年3月に大麻合法化に踏み切った米・ニューヨーク(以下、NY)州では、生産・流通・販売業者のライセンス制に、課税・罰則のシステムに至るまで、実によくできた制度が敷かれている。これに加え、NY州・市とも大麻使用による健康被害に対応するため細かな情報提供を行っている。内容は多岐にわたり、「なるほど」と感心させられる情報もあるので、以下、Q&A形式にしていくつかを紹介しよう。【瀬戸晴海/元厚生労働省麻薬取締部部長】

(全2回の第2回)

・大麻を使用したときの影響は人によって違うのか
〈年齢、身長、体重、健康状態、服用している薬、耐性、その日に摂取した他の食べ物、液体、薬物によっても影響を受ける可能性があります〉

・大麻使用は「Start Low and Go Slow」が原則と聞いたが
〈大麻の使用は、急性中毒の発生を予防するため―「ゆっくり、そして少しずつが原則」―ということです〉

・大麻を摂取して気分が悪くなったり、過剰摂取したりした場合は、どうすればいいのか
〈まずは水分を補給し休息をとってください。深呼吸をして呼吸を整えることも大事です。過剰摂取で医療上の緊急事態が発生した場合は、ただちに991(救急救命センター)か中毒管理センターに電話してください。また大麻を使用した場合は、アルコールを含む他の薬物は絶対に使用しないでください。それらがどのように相互作用して、状態を悪化させるか分かりません。運転もそうです。大麻の影響下で運転することは違法です。大麻の影響下では運動調整能力や安全運転に必要な他のスキルが低下します〉

・大麻の安全な保管は、なぜ重要なのか
〈大麻を自宅に保管する場合は、安全に保管し、施錠し、子供やペットの手の届かない場所に保管してください。誤飲は子供やペットにとってとても危険であり、急性中毒など緊急医療の必要性を引き起こす可能性があります〉

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