「普通、気づくだろ!」「コンプラ大丈夫?」きらぼし銀行“4.6億不審送金”見逃しに業界は唖然 5年前には“マザコン行員”の「凶悪事件」も

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「アニータ事件」で不審送金を見逃した地銀2行に出た「業務改善命令」

 きらぼし銀行の杜撰すぎる対応には、金融庁も眉を顰めている。犯罪収益移転防止法では金融機関に、200万円以上の送金を依頼する顧客に送金目的を確認するよう義務付けている。きらぼし銀行はこうした法令に違反していた可能性があり、金融庁は同行へ聴取に入っている。

 同種のケースは2002年に地銀2行で起きていた。青森県住宅供給公社で起きた約14億6000万円に上る横領事件、俗に言う「アニータ事件」である。

 同公社の経理担当主幹だった男はチリ人の美人妻・アニータさんに貢ぐために公社のカネを横領。アニータさんに渡った約11億円のうち約5億5000万円が、男の依頼で青森銀行とみちのく銀行から約60回にわけて送金された。

「発覚した際、金融庁は両行にマネー・ロンダリングに対する認識や社内体制が不十分だったとして業務改善命令を出しています。今回も厳しい処分が出る可能性はある」(経済紙記者)

6年前に起きた「マザコン行員」の「妻殺し事件」

 きらぼし銀行は東京都民銀行と八千代銀行、新銀行東京の3行が合併して2018年5月に誕生したが、発足直後から不祥事が立て続けに起きた。

 世間の記憶に残るのは、18年7月に「マザコン行員」が妻殺しの容疑で逮捕された事件だろう。

「中小企業向け融資担当だった男性行員は、育児をめぐり妻と喧嘩が絶えなかった。男性行員は妻が口にするカレーに睡眠導入剤を混入させ、眠り込んだところを絞殺。その後、遺体の処理に困って母親に打ち明け、2人で自宅の庭に妻の遺体を埋めた。母親も死体遺棄容疑で逮捕された」(前出・記者)

 同年9月には、石神井支店勤務の男性行員が顧客の口座から不正に約6億8000万円の現金を引き出し、失踪する騒ぎも発生。

 さらに22年10月に「週刊新潮」は、同行執行役員から不正融資を受けたと打ち明ける不動産会社社長X氏の告発記事を報じた。X氏は執行役員に女子大生をあてがうなどの接待攻勢をかけ、1億1000万円の融資を受けることに成功。その見返りに数百万円をキックバックしていたと告白した。執行役員はX氏の紹介先にも同様の不正融資した際、100万円のキックバックを受けていたが、カネの受け渡し現場を動画で隠し撮りされていた。

 そして、今回の不始末である。

 金融業界関係者は「きらぼし銀行のコンプライアンスは大丈夫なのか」と一様にいぶかっているという。きらぼし銀行に取材したが「個別の取引や顧客情報に関する事項になりますのでお答えできません」との回答だった。

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