閉館の国立劇場、解体工事すら始まらない理由とは 伝統芸能の重鎮からも怒りの声

エンタメ

  • ブックマーク

Advertisement

「空白期間とファン離れがリンクしている」

 斯界の窮状は国会でも取り上げられた。今月4日の参議院予算委員会では、“ヒゲの隊長”こと自民党の佐藤正久参院議員が“国立劇場の建て替えに関し、歌舞伎や日本舞踊、文楽、落語など劇場関係者が伝統芸能の伝承の危機にあると訴えている”と述べた。

 芸能デスクが指摘する。

「岸田総理は“再整備までの実演場所の確保を支援していきたい”“必要な予算確保の努力は極めて重要”などと答弁しましたが、歌舞伎はすでに新国立劇場で、文楽は北千住のシアター1010や日本青年館で公演を続けています。ただ、観客の入りは芳しくなく、いずれも定員の半分すら埋まっていません。国立劇場の空白期間とファン離れがリンクしているのは明らか」

 先の実演家らの会見では、建て替えではなく改修案の再検討を求める声もあった。

「そもそもは大規模な改修案が有力でしたが、最終的に政府の方針で民間資金を活用した複合施設の建設案が採用された。800億円の建設費を誇る一大プロジェクトですが、数年来の原材料費や人件費の高騰で費用はさらに増える見込み。国が資金を出し渋って民間に丸投げした結果です」

 3度目の入札は近く実施の見込みだが、名乗りを上げる業者は出てくるか――。

週刊新潮 2024年3月21日号掲載

前へ 1 2 次へ

[2/2ページ]

メールアドレス

利用規約を必ず確認の上、登録ボタンを押してください。