「老後は1億円必要になる」専門家が指摘 背景にインフレと株高が

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「25年間で1億円以上必要」

 では、そもそも老後にかかるお金は全部でいくらなのか。答えは翌年10月、金融庁総合政策課の担当者名で出された資料に〈平均約8000万円〉とある。それによると夫婦二人、65歳から25年間生きる想定で、月額約27万円が必要というものだ。だが、

「インフレが始まったことで、8000万円でも収まらなくなるでしょう」

 とは「インフィニティ」のチーフエコノミスト・田代秀敏氏。

「レポートが発表された時点で、日本はまだデフレ下でした。しかし、今のように消費者物価指数が毎年2%上がってゆくとなると、私の試算では25年間で1億250万円が必要になる。もちろん、年金は物価スライドで増額しますが、社会保障費の増額で相殺され、可処分所得が増えることは期待できません」

 だから政府は「新NISA」を導入し、資産運用すべしと喧伝しているのか。金融審議会は、その後、老後資金については何も報告していない。

週刊新潮 2024年3月14日号掲載

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