国会に出て来い、裁判所で証言しろ…晩節を汚す森喜朗元首相に対し、「政治学者は本気で研究すべき」という声が上がる理由

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日本特有の政治システム

 森氏が首相に就任したのは2000年4月。だが、翌月に「神の国発言」が飛び出すなど舌禍が相次いだ。また、01年2月にえひめ丸事故が発生した際、ゴルフのプレーを続行したため非難が集中。内閣支持率は急落し、同年4月に森内閣は総辞職した。

「森さんは党内権力を喪失しても不思議ではありませんでした。ところが、首相を辞めても一定の影響力を保持しました。安倍派に直接、指示を下すこともあったのです。背景の一つとして、政治資金をそれなりに確保していたことが挙げられるでしょう。09年の西松建設事件では森さんも多額の献金を受けていたことが発覚し、400万円の返還を発表しました。お世辞にもカネに綺麗な政治家だとは言えません。派閥の裏金問題や五輪汚職事件で名前が出てくるのは当然だと思います」(前出の記者)

 伊藤氏は「森さんの政治家人生を改めて振り返ると不思議なことが多く、論評は私の手に余ると思うことさえあります」と言う。

「どう考えても森さんは首相になれる人ではなかった。彼が日本の最高権力者となったのは、日本にしか存在しない特有の政治システムが影響したのではないかと考えてしまうのです。その『日本特有の政治システム』とは何か、私には分かりません。政治学者など専門家に研究してもらい、システムにおける特異性を解き明かしてほしいと願っているほどです」

次は総選挙

 裏金問題を徹底的に究明するためには、森氏を国会で証人喚問することは絶対に必要だという。だが、実現の見込みは低いようだ。

「参考人招致は偽証罪の規定がありませんから、虚偽証言の懸念が生じます。安倍さんは亡くなられましたし、派閥の会長を務めた小泉純一郎さん(82)も派閥の資金について無関心だったはずです。やはり安倍派の裏金問題を原点から語れる政治家となると、森さんしかいないのです。自民党が証人喚問を求めてもいいはずなのですが、党は森さんを全力で守ると決めたようです。こうなると次の話は総選挙ということになるでしょう。有権者がこの問題を忘れずに自民党へお灸を据えるのか、それとも忘れてしまって棄権したり自民党に投票したりするのかということになるんだろうと思います」(同・伊藤氏)

デイリー新潮編集部

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