大股で歩く、アプリで聴力チェック… 認知症予防のためにすぐやるべきこと7選

ドクター新潮 ライフ

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アプリでも聴力チェックが可能

【聴力をチェック】

 子どもたちが聞こえると言っている「20代」の音が、私には聞こえない――。数年前、こんな投稿がTwitter(現X)にアップされ、話題になったのがパナソニックのウェブサイト「聞こえチェック」。

 聴力は加齢で低下します。聞こえなくなるのは、高音域から。このサイトでは10段階の音域が流れるようになっており、20代の目安が1万9000ヘルツ、30代の目安が1万7000ヘルツ……というように、年代ごとの「聞こえる音域」が記載されています。

 同様のサイトやアプリは複数登場しています。いずれも診断用の聴力検査ではなく、聴力を詳細に調べるには耳鼻咽喉科を受診しなければなりませんが、こういったサイトやアプリの利用で、自分の聴力が年代相応か、それ以下なのか、見当をつけられます。

「ランセット」誌の認知症リスク因子12項目のうち、最も認知症への影響が大きいとされたのが難聴です。頭部外傷が3%、高血圧が2%、喫煙が5%とされる中、難聴は8%。難聴があると周囲とのコミュニケーションも難しくなるでしょう。それによって起こり得る社会的孤立もリスク因子12項目に入っており、その影響は4%となっています。

 聴力が衰えているなら、補聴器で聴力を補う。「若いから聴力は大丈夫」とは言えません。ヘッドホンやイヤホンの使用で、聴力低下の若者が増加傾向にあるのです。こういった音響性聴器障害(または騒音性難聴)は二度と回復しません。早めに気づき、対策を講じることは聴力を守り、認知症予防になります。

大股で歩く

【血圧を測定する】

 血圧は、家庭用血圧計で測定できますし、スマートウォッチなら血圧測定機能がついていることもあります。薬局など無料で利用できる血圧計を設置しているところでも測定可能です。

 そして高血圧であれば、高血糖(糖尿病)、高コレステロール(脂質異常症)の可能性も高い。高血圧のリスク因子は加齢、適切でない食生活、肥満、喫煙、運動不足などですが、これらは糖尿病、脂質異常症のリスク因子でもあります。

 高血圧、糖尿病、脂質異常症は動脈硬化を引き起こし、脳梗塞や脳出血のリスクを高め、血管性認知症の原因になります。自覚症状に乏しいので、数値を測定しないと分からない。高血圧、糖尿病、脂質異常症であれば、速やかに治療を受けなくてはなりません。

【大股で歩く】

 国立環境研究所の谷口優主任研究員が、歩幅に関する研究結果を発表しています。それによると、歩幅が狭い人は広い人に比べて認知機能が低下しやすい。歩幅が特定の脳の部位の大きさや血流の状態と関係しているため、歩幅を広げれば脳が刺激され、活性化が期待できる、というのです。

 姿勢を正し、腕を振って大股でさっさと歩けば、ブラブラ歩くより消費カロリーが増えます。下肢の筋肉が鍛えられ、基礎代謝が上がり、太りにくくなる。認知症のリスク因子である中年期の肥満解消を目指せます。

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