米大統領選の大きなカギ、「不動産問題」はトランプにとって追い風か、急所になるか

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112年ぶりの新・旧大統領対決か

 今年11月の米大統領選挙は現時点で、民主党のバイデン大統領と共和党のトランプ前大統領が再びその座を争う可能性が極めて高くなっている。

 実現すれば、1912年以来、112年ぶりの新・旧大統領の対決となる。

 第26代大統領のセオドア・ルーズベルトが共和党を離党して現職(第27代)大統領だったウイリアム・タフトと争ったため、共和党の票が分散し、民主党の候補だったウッドロー・ウイルソン氏が漁夫の利を得て、第28代大統領の座を射止めた経緯がある。

 米リアル・クリア・ポリティクスの集計によれば、現時点で2人が戦った場合の支持率はトランプ氏が47.5%、45.3%のバイデン氏を2ポイントほどリードしている。

 バイデン氏は3月7日に上下両院合同会議の場で行った一般教書演説で「私は瀬戸際の経済を(トランプ氏から)引き継いだ。それが今や米国経済は世界で羨望の的だ」と経済手腕を自賛したが、支持率は一向に回復する気配がない。

景気は約22年ぶりの長期低迷

 今回の大統領選では「両候補者の年齢問題」や「不法移民問題」、「パレスチナ情勢」などが争点になっているが、世代交代が進まないまま4年前と同じ「2択」を迫られる選挙戦に有権者の熱狂は乏しいと言わざるを得ない。

 両氏への不人気ぶりが高まる中、筆者は「大統領選直前の経済状況が勝敗を決する鍵になるのではないか」と考えている。

 たしかに米国経済は好調に見える。

 だが、株価など金融市場は活況を呈しているものの、実体経済は芳しくない。米サプライマネジメント協会(ISM)が1日に発表した2月の製造業景況感指数は47.8と好不況の境目である50を16ヵ月連続で下回り、約22年ぶりの長期低迷となった。

 米連邦準備理事会(FRB)が6日に発表した地区連銀経済報告(ベージュブック)は「消費者の節約志向が広がり、企業は価格転嫁をすることが難しくなった」と指摘している。

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