“歌怪獣”島津亜矢が「ソウル歌手」として世界デビュー きっかけは1本の映画との出会い

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レーベルの壁を乗り越え…

 島津の歌唱でアレサの世界を描くという前代未聞の企画に、真っ先に興味を示したのが米国のレーベル「アトランティック・レコード」だったという。60年代にアレサをスターダムに押し上げたそのレーベルである。彼女への思い入れも大きく、こうした流れで、今回グループレーベルの「アトランティック・ジャパン」からの発売が決まった。

 ただし、島津は現在、テイチクエンタテインメントと専属契約を結んでいるため「話し合いが難航した」(関係者)とも。しかし、先述のとおり12年前には日本コロムビア所属だった八代亜紀さんがユニバーサルミュージックからジャズ歌手として「夜のアルバム」を世界同時発売した前例があり、島津の希望もあって最終的に「アヤ・シマヅ」名義での発売で合意となったという。

アヤの衝撃に耐えられるか

 第1弾として世界配信が決まった「Think」は、アレサが1968年に発表した名曲だ。バラク・オバマ元米大統領が「最も愛した曲」として知られ、大統領就任式ではホワイトハウスに招かれたアレサが、その歌声を披露してもいる。まさにアレサにとっての代表曲というわけだが、特にサビの部分の力強い「フリーダム!」の連呼が知られる。松尾氏は盟友のシンガー・ソングライター、中田亮をサウンドプロデューサーに据え「アレサの歌が島津に大きな衝撃を与えたように、今回はアヤ・シマヅのパワフルな圧巻のボーカルで、聴く人に異次元の衝撃を与えたかった」と狙いを語る。

 3月3日に放送された「情熱大陸」(TBS系)では、島津を半年間に亘って密着。アレサの世界を歌うにあたり、ソウル・ミュージック特有のリズム感などに悩み苦しみつつ奮闘する姿を追っていた。今後、アルバムの発売も計画しているという。

 世界デビューには「アレサと世界は、アヤの衝撃に耐えられるか」と言ったキャッチフレーズも考えられている。日本発の怪獣の“先輩”にはゴジラがいる。“歌怪獣”はその背中を超えられるのか、大いに期待したいところだ。

渡邉裕二(わたなべ・ゆうじ)
芸能ジャーナリスト

デイリー新潮編集部

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