「クーアンドリク」の委託コンサルタントが名誉毀損で新潮社と杉本彩さんを提訴 杉本さん「法廷で動物達の“声なき声”を代弁できるならば本望です」

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杉本さんが訴えられた理由は「リポスト」

 この記事に対し、A子さんは準備書面などで、病気の猫を放置するようなことはしていないなどと主張。記事の配信後、ネット上で本名や写真が特定され、クーリクから委託を受けている「店舗の覆面視察」が出来なくなったとし、新潮社に対して精神的な苦痛を受けたことに対する慰謝料や営業損害などの賠償として1157万円を支払い、記事を削除し謝罪広告を掲載するよう求めている。

 一方、杉本さんは記事をリポストして拡散したことなどを理由に訴えられた。杉本さんはリポストする際、〈ずさんな繁殖と医療ネグレクトに苦しんだ猫の死。どこまでも非道である。拡散お願いします〉とコメントも投稿していた。A子さんは杉本さんに対しても新潮社と同額の賠償、Xの投稿などの削除、謝罪広告の掲載を求めている。

 杉本さんの代理人を務める紀藤正樹弁護士は、今回の訴訟が社会に与える影響についてこう指摘する。

「最近、SNSへの投稿に『いいね』を付けたりリポストする行為について、裁判で責任が争われるケースが増えています。ただし、報道機関の記事をリポストしたことで訴えられるのは、極めて異例です。記事に賛同の意を示したり、問題提起をしたい意図でリポストしただけでも不法行為に問われてしまうことになると、市民の自由な表現活動を萎縮させてしまうリスクがあります」

杉本さん「いわれなき指摘で、声をあげることを止めるつもりはない」

 杉本さん自身は「想定外のことでびっくりした」と話す。

「私が問題視したのは、動物の命を軽視したクーリクの動物管理や営業手法であり、A子さんについて何かを言いたかったわけではありません。そもそも私はA子さんが誰であるかも知らなかったし、興味もなかった。ネット上で身元が特定された経緯も一切知りません。被害を被ったというのならば、写真や本名を暴露した人を訴えるべきではないでしょうか」

 そして、裁判で争う決意を次のように語った。

「2014年に『公益財団法人動物環境・福祉協会Eva』を設立して以降、私は人生をかけて動物愛護活動に身を投じてきました。命の大量生産、大量流通を続けるペットショップの実態を啓蒙し、一つでも多くの動物の命を救い出すことは私の使命だと思っています。当協会にもクーリクの杜撰な動物管理を告発する従業員や消費者からの情報提供は新潮社の報道が始まる以前から複数寄せられており、かねてから私たちも問題視しておりました。デイリー新潮が報じた一連の記事には、クーリクが全国に展開するゴキブリだらけの大規模繁殖場の実態など私たちが把握していなかった話も多く載っていました。私たちも記事で証言した元従業員の方から直接お話を確認させていただくなど注目してきた次第です」

「動物を愛する人たちの間で注目されていた記事をリポストし、多くの人に動物愛護の問題を考えてほしいと訴えることのどこが悪いのでしょうか。いわれなき指摘で、声をあげることを止めるつもりは毛頭ありません。思いも寄らなかった出費を覚悟しなければなりませんが、苦しんでいる動物たちの“声なき声”を法廷で代弁できるのならば本望です。受けて立ちます」

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