海外の研究で「肩こり」の根本原因が明らかに 「自分で治す方法」を専門家が解説

ドクター新潮 ライフ

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根本的にして唯一の原因

 しかし、これは必ずしも「正しい診断」とは言えません。なぜなら、椎間板が潰れたりする変化は、程度の差こそあれ、加齢に伴い誰にでも起きることだからです。そして変形が見られても、痛みやこりが出る人もいれば、出ない人もいる。つまり椎間板の変形などは、首周辺に負荷が加わったことのひとつの「結果」に過ぎず、こりや痛みの「原因」とは言い切れないのです。その証拠に、レントゲンを撮っても異常は見られないのに、肩こりがひどいという人もいます。

 このような椎間板の変形などの「結果」をもたらす根本的にして唯一の「原因」、それこそが頸長筋の機能不全なのです。

 頸椎は背骨の一部である首の骨ですが、この頸椎を支えているインナーマッスル(深層筋)が頸長筋です。頸椎にじかに付着している、首の前側にある筋肉で、上の「C1」から下の「C7」まで7個の頸椎をひとつひとつつないでいます。この頸長筋の働きによって首は滑らかに動くことができるのです。

 そして、人間の体はまずインナーマッスル、次にアウターマッスル(表層筋)という順番で働くようにできており、このインナーマッスルとアウターマッスルが協働することによって、首の場合であれば、頸椎への負荷を少なくすることも可能となるのです。

肩こりの正体

 しかし、パソコンを使ってのデスクワークや、スマートフォンを見る時に、前屈みでのぞき込むような姿勢を取ることが多い現代人は、頸長筋を働かせていないケースが非常に多い。すると、とりわけ頸椎のC5、C6に大きな負担が掛かり、椎間板がすり減ったり、椎間関節の軟骨が損傷したりしてしまいます。

 また、インナーマッスルがうまく働いていないために、首から背中にかけて広がっているアウターマッスルである僧帽筋の上部などに過重な負担が掛かります。

 つまり、頸長筋がうまく機能しないことによって起きる骨や関節への負担とアウターマッスルの損傷、これこそが肩のこりや首の痛みの正体なのです。

人類の宿命

 そもそも、肩こりは人類の宿命ともいえる側面を持っています。

 二足歩行を始めた人間は、体重の約8~10%を占める頭を頸椎のみで支えることになりました。体重60キロの人であれば頭の重さは5~6キロで、ボウリングの球の重さと同じくらいになります。これほど重いものを頸椎は「一本柱」として支えているのです。

 同時に、二足歩行を始めたため、人間の肩には2本の腕がぶら下がることになりました。1本の腕の重さは頭と同程度で、やはり体重60キロの人なら5~6キロになります。それが2本、肩にぶら下がっている。

 こうした構造上、人間の肩や首は常に大きな負荷を受けることになり、二足歩行によるメリットを享受するのと引き換えに、人間は肩や首に痛みが生じやすいという最大の弱点を抱えることになってしまったのです。

「インナーマッスル→アウターマッスル」という順番での協働によってこの弱点を補い、かつ首のしなやかな動きが可能になっているわけですが、頸長筋をうまく働かせられないことで協働が崩れ、方々にこりや痛みが生じてしまう。

 つまり、頸長筋を再びアクティベイト(活性化)させない限り、マッサージや注射によって、いま感じている不快感を一時的に解消できたとしても、肩こりの根本的解決にはならないわけです。そして痛みの解消という「その場しのぎ」ばかりを続けることで、逆に症状の慢性化、重症化、難治化を招いてしまうこともあるのです。

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