絶対に許せない!球団事務所に抗議殺到…野球ファンの顰蹙を買った「3大トレード劇」

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地元・名古屋ではトレード撤回を求める署名運動

 人気スターの放出に、地元ファンが怒りの声を上げたのが、1985年の中日・田尾安志のトレード劇である。

 キャンプイン目前の同年1月24日、越年交渉の末、4日前に契約更改を済ませたばかりの田尾は、合同自主トレでナゴヤ球場に入った直後、球団社長から青天の霹靂とも言うべき、西武・杉本正、大石友好とのトレードを通告された。

 田尾は前年まで4年連続3割、3年連続リーグ最多安打と文句なしの実績を残すとともに、甘いマスクと爽やかなイメージで女性ファンの絶大な支持を集めていた。だが、その一方で、年俸交渉が難航したり、選手会長として「待遇はセではドベ(ビリ)」と歯に衣着せず改善を要求する言動などから、球団側に煙たがられていた。「当時は器の大きい人たちに言っているつもりだったんですが、後になって、そこまで器の大きい人はいなかったと気づきました」。

 それでも、本人は「決まった以上は仕方がない」と腹を括り、西武移籍を受け入れたが、地元・名古屋ではトレード撤回を求める署名運動が繰り広げられ、球団事務所も抗議の電話が鳴りっぱなしになるなど、大騒ぎに。「こんなことをして優勝しても、うれしくない」「これで中日の優勝は当分ないね」など、不満の声が続出した。同年、田尾が加入した西武は2年ぶりV奪回に成功したが、中日は皮肉にも2年連続5位と明暗を分けた。

アンケート結果も賛否が真っ二つに

 近年では、2021年8月、日本ハム・中田翔の巨人への電撃無償トレードが物議を醸したことも記憶に新しい。

 中田はチームの後輩への暴力事件により、8月11日に無期限出場停止処分を受けたばかり。それがわずか9日後に処分解除になり、翌21日から巨人が中田を試合で起用したことから、「所属球団が変わったからといって、あっさり不問に付してしまっていいのか?」と非難の的になった。

 巨人入団の席で、中田はファンに迷惑をかけたことを謝罪したが、日本ハム側で謝罪する公式の場が与えられなかったことに対しても、「日本ハムは無責任」の批判が出た。

 また、スポーツニッポンが8月21日に公表した緊急読者アンケートの結果も、「移籍に賛成」が31.8%、「反対」が31.3%(「どちらとも言えない」が36.9%)と真っ二つに分かれた。

 そんな世間の逆風に加え、セ・リーグの投手の変化球でかわす投球への対応に苦しんだ中田は、移籍1年目は打率.154、3本塁打と低迷した。だが、「去年1年は終わったので、今までどおり自分らしくやっていきたい。新たな中田翔をつくっていく」と巻き返しを誓った翌22年は、打率.269、24本塁打、68打点と復調をはたしている。

久保田龍雄(くぼた・たつお)
1960年生まれ。東京都出身。中央大学文学部卒業後、地方紙の記者を経て独立。プロアマ問わず野球を中心に執筆活動を展開している。きめの細かいデータと史実に基づいた考察には定評がある。

デイリー新潮編集部

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