政府に従順過ぎる日本人 「生きていくのがキツい国」ならもっと声を上げるべき(中川淳一郎)

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 皆さん、人生って辛くありませんか? 私は現在50歳になりましたが、さっさと死にたくなっています。理由は、もはや貧乏国家に成り下がった日本では、これから豊かな人生を送れるとは思わないからです。

 昔は「頑張れば報われる」的な時代がありましたが、日本という国はGDPでもドイツを下回るとの報道もあり、これから少子高齢化でますます貧乏になっていく未来が見えています。そんな国でいくら頑張って働いてもキツい未来しかないのではなかろうか……ということを日々考えています。

 先日、佐賀県の某高校で講演をしたのですが、158人の生徒さんを相手に前向きな話をしました。「佐賀県にいることを誇りに思ってくれ」と。しかしながら、人生はそこまでラクなものではありません。

 私は彼ら・彼女らを鼓舞したいと思いつつ、どんな激励の言葉も上滑りしてしまうほど、日本は生きていくのがキツい国になっています。物価は上がるものの給料はあまり上がらない。そんな国が果たしてこれから幸せな国民を生み出す国になれるのか?とも思うのですね。

 暴論だとは思いますが、私は「さっさとリタイヤしろ!」と主張したい。私自身、47歳で一生分のカネをため、佐賀県唐津市に移住し、今はのんきな生活をしていますが、もはや日本は「さっさと現役から撤退すべき国」という状況になっていると思います。

 現在、年金生活をされている方は安泰かもしれませんが、これから少子高齢化の状況とマクロスライド(賃金や物価による年金額の改定率を調整し、給付水準を調整する仕組み。つまり、賃金と物価の上昇率が低いままだと年金も増えないということ)の影響でさらに年金が減る可能性があるわけで、20年前とこれからの年金生活者の暮らしはまったく違うものになるでしょう。

 物価が上がっても給料が上がらない場合は、勤労者の生活、そしてリタイヤ後の年金はさらに悲惨なものになると考えられます。にもかかわらず、日本国はまったく国民のことを考えていない。与党の政治家に至っては、ひたすら私腹を肥やすことばかり考えて「パーティー券問題」を引き起こす。

 こんな人々がわれわれの人生を左右しているわけです。私はなんでもかんでも国に反対する左翼ではありません。しかし、今の与党の姿勢は国民を不幸にする、と憂えております。

 実に恐ろしい状況に置かれている現在、われわれには何ができるのか。私自身は、これから先は、日本国民全員が自発的に不満を言いまくる風潮が生まれてほしいと思っています。

 とにかく、これまでの日本人はお上に対して従順過ぎたんですよ。「頑張れば報われる」「わが国の年金制度は盤石」的な神話に従って、お上・国に対して反対意見を出さなかった。もはや、大塩平八郎の乱的な一揆をおこしてもいい状態だと私は考えます。暴力的なことはしないまでも、SNS上やデモでの抗議などを含めて、異議をキチンと伝える。

 みんなが黙っているままでは、日本は衰退していく一方でしょう。今こそ、国民は自分がムカついていることをキチンと表明するべき状況にいます。

中川淳一郎(なかがわ・じゅんいちろう)
1973(昭和48)年東京都生まれ。ネットニュース編集者。博報堂で企業のPR業務に携わり、2001年に退社。雑誌のライター、「TVブロス」編集者等を経て現在に至る。著書に『ウェブはバカと暇人のもの』『ネットのバカ』『ウェブでメシを食うということ』等。

まんきつ
1975(昭和50)年埼玉県生まれ。日本大学藝術学部卒。ブログ「まんしゅうきつこのオリモノわんだーらんど」で注目を浴び、漫画家、イラストレーターとして活躍。著書に『アル中ワンダーランド』(扶桑社)『ハルモヤさん』(新潮社)など。

週刊新潮 2024年2月1日号掲載

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