能登半島地震が発生したいまこそ見直すべき このままでは過剰なインフラを維持できない

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 年明け早々、能登半島地震が発生し、強烈な揺れは津波や火災も誘発して、甚大な被害をおよぼした。しかも、道路は各地で亀裂が入り、崩れた土砂や住宅が覆いかぶさるなどして方々で寸断され、救援に支障を来す ばかりか、被害状況の把握にも手間取った。水道や電気、ガスの供給も止まり、われわれの生活を支えるライフラインが、いざとなると頼りないことを思い知らされた。

 だが、大地震に見舞われなくても、われわれが当たり前のようにその便益を享受しているインフラは、意外と脆弱なのだと痛感することがある。一例を挙げれば、昨年12月23日に奈良県下北山村の国道169号で、斜面の土砂が幅30メートルにわたって崩れ、自動車2台が巻き込まれる事故が起きた。ダム湖に沿った道路だから、岩盤を削り、自然にかなりの負荷をかけて通したことが想像される。

 斜面にはモルタル・コンクリートが吹き付けられていたようだが、雨などによって劣化し、岩盤を支えきれなかったのだろう 。テレビのワイドショーでコメンテーターが、同じように危険な場所はほかにもあるだろうから点検する必要がある、という旨の発言をしていたが、難しいと思わざるをえなかった。

 むろん、点検できるに越したことはないが、各地の道路には、同様にリスクを抱える箇所が無数にあると考えられ、それをくまなく点検するには、かなりのマンパワーと莫大な予算が必要だろう。要は、日本は列島中のあらゆるところに、道路を通しすぎているのである。

 私は各地の城郭や史跡を取材して回っており、その際、自動車を使うことが多いが、そのたびに、日本はどこに行っても道路が信じられないほどよく整備されているものだと感心させられる。たとえば、昨年12月には岡山駅からスタートして、北方の津山市に行き、次に東方の兵庫県福崎町に移動して一泊し、その後、姫路市を通って赤穂市に寄り、最後は岡山駅に戻った。

 その間の走行距離は300kmほどだが、行程の8割から9割は高速道路での移動だったと思う。山間部が中心の移動だったが、山を削り、コンクリートによる高架を渡し、トンネルを掘って、どこまでも広い道路が通されており、快適に移動できる。しかし、快適さを享受しながら、大がかりな道路が延々と続くことに、恐怖感も増していった。

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