ロシア軍は31万人の戦死者を出してもまだ余裕…貧困ネパール人も雇う、えげつない兵集め【24年のウクライナ戦争を占う】

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軍部の不満

 政治的には正しい発言でも、軍事的に正しいとは限らない。東部戦線でロシア軍の猛攻を食い止めながら、南部のクリミア半島に進撃するという“2方面作戦”を行える余裕は、今のウクライナ軍にはないようだ。

「ゼレンスキー大統領は優れた政治家だと思いますし、いまだにウクライナがロシアに屈服していないのは彼が常に戦い抜く姿勢を見せていたからです。とはいうものの、古来、戦争で完全勝利は稀です。普通は『どうしたら休戦が成立するか』を考えながら戦争をします。クリミア半島を諦めれば、東部戦線に兵力を集中させることも可能です。日本も日露戦争でロシア軍を撃破しましたが、ロシア全土を占領しようとは考えてもいませんでした。ウクライナ軍の幹部から『常に全領土の奪還を掲げられても困る』と大統領を批判する意見が出るのではないかと危惧しています」(同・軍事ジャーナリスト)

 2024年を迎えたウクライナは、氷点下も珍しくない気候となっている。陸軍は寒さに弱いため、戦線は春まで膠着状態が続くことが予想される。

ウクライナ支援の行方

「ロシア軍も兵士の数だけは揃っているようですが、充分な訓練を受けたのかという疑問はあります。昨冬に東部戦線で損害無視の猛攻を仕掛けたのは、今年3月に大統領選が控えているためプーチン大統領が軍事的勝利を必要としたことも大きいでしょう。代償は決して小さくない可能性がありますし、3月の選挙が終われば春の訪れと共に無理な進行を開始しなくてもいいという判断を下すかもしれません」(同・軍事ジャーナリスト)

 となると、戦線はずっと膠着状態が続いたとしても不思議ではない。世界各国の関心がウクライナから離れてもおかしくはないという。

「アメリカ大統領選が11月に行われるからです。ウクライナ問題は政策論争としても重要性が高いと考えられます。各候補はウクライナ支援について持論を展開し、激しく議論されるでしょう。候補者によっては『今すぐウクライナ支援をやめろ』という意見を表明し、それが一定の支持を受けてもおかしくありません。ウクライナの戦場よりアメリカ大統領選の動向に関心が集まる理由です」(同・軍事ジャーナリスト)

註:ロシア軍とウクライナ軍では「巨人と少年」、両国の戦力を比較(CNN日本語電子版:2022年2月26日)

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