「運転席からライフルのスコープをのぞき…」OSO18を射殺したハンターが語る“闘い” 猟友会支部長は「内地の人は“共存共栄”と言うけれど」【スクープその後】

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「面白く思わない人も」

 鑑定の結果、DNAはOSOと一致。18日の夕刻には男性にも一報がもたらされ、土日を挟んで22日には釧路総合振興局が会見を開き、正式発表されたのだが、ここから苦悩が始まったという。

「さんざん農家を苦しめてきたOSOを仕留めてうれしい気持ちはありますが、それは表に出せませんでした。OSOが捕まったことで、私や役場にはさまざまなリアクションが届きました。普段、鹿を撃つ時にも農家から連絡を受けて現場に出向きます。ところが、そもそも釧路町のハンターの中には、私のような役場の人間が先回りするのを面白く思わない人もいるのです」

 加えて今回は、前述のように愛護団体や一般市民からの抗議も相次いだという。

「一番ひどかったのは道外からの電話で、こちらの話を全く聞かないでテープレコーダーのように一方的にまくし立てる。気が済んだら切って、また同じ人が掛けてくるというのが7、8回ありました。また、乳牛被害の当事者とはいえない釧路町の私が撃ったことで、ずっと追い続けていた標茶や厚岸のハンターには申し訳ないという気持ちもある。決して手放しでは喜べないのが、正直な心境です」

「9月の予約も埋まっている」

 地域を救ったハンターをかくも苛(さいな)むとは、実にOSOは罪深い。一方、馬木葉からモモ肉を仕入れてステーキなどを提供している東京・日本橋人形町のジビエ料理店「あまからくまから」の店主いわく、

「お客様には『食べやすくておいしい』と言っていただいています。OSOの肉だと分かってからの反響はすさまじく、9月の予約も埋まっている状態です」

“罪”を重ねた最凶ヒグマのせめてもの“功”というべきか。

 昨年11月には登山中にヒグマに襲われたとみられる男性の遺体が見つかる事故が起きたほか、市街地でのクマの目撃情報も増加している。果たして人間とクマはいかにすれば共存できるのだろうか――。

デイリー新潮編集部

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