「獄中に7カ月」「出所後は“思想教育”」 亡命した香港民主化運動の女神・周庭(アグネス・チョウ)が明かした中国の人権侵害の実態
中国という国の恐るべき“本質”が改めてあらわになった。27歳の誕生日を迎えたその日、留学先のカナダへの亡命を表明した香港の民主活動家、周庭氏。香港「雨傘運動の女神」と呼ばれた彼女がインタビューに応じ、中国による抑圧の実態を明らかにした。
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〈皆さんにお伝えしたいことがあります〉
沈黙を強いられて3年、久しぶりに更新された彼女のInstagramには、中国語で重大な決意が記されていた。
〈私はもともと12月末に香港に戻り、国安法に従い警察に報告をする必要がありました〉
しかし、
〈香港の情勢や自身の安全、心身の健康なども含めて深く熟慮した結果、香港に戻って出頭するのは、やめることにしました〉
そしてこう続ける。
〈恐らく、もう一生戻ることはないでしょう〉
〈私はもう、したくないことを強いられるのは嫌なのです。また、中国に無理やり行かされるのも嫌です。そうなれば、たとえ私自身の身が安全であったとしても、身体や精神は崩壊してしまうでしょう〉
「普通に暮らしたいだけ」
現在、周庭氏は、留学ビザでカナダに滞在している。そして二度と帰国しないことを表明――。日本でも各紙が「香港民主化運動の女神」が「事実上の亡命」と報じたのだ。
「私はただ“自由”でいたかった。それが今回の決断の一番大きな理由です」
決意表明をしてから5日後、オンラインでのインタビューに応じた周庭氏はそう述べる。
「公表後はたくさんのメッセージを頂きました。もちろん日本の方々からも多くの応援の言葉を。ものすごく感謝しています」
一方、香港行政長官は「一生、逃亡者として追われる」と警告した。
「不安です。世界各国に中国の秘密警察があるという報道もある。カナダのそれが動くのではないかという恐怖を感じます」
そして嘆息する。
「私は普通に暮らしたいだけ。なぜそれがこんなに難しいんだろう。悲しくなります。ただただ自由に生きたいだけなのに……」
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