個々人、会社同士が連携する「知的資本カンパニー」へ――高橋誉則(カルチュア・コンビニエンス・クラブ代表取締役社長)【佐藤優の頂上対決】

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仕入れ改革

佐藤 だからここ東京駅前の「TSUTAYA BOOKSTORE MARUNOUCHI」もそうですが、ブック&カフェ形式が広がっていった。さらにここにはシェアラウンジが併設されていて、けっこう混んでいますね。

高橋 いま、こうしたワークスペースとして使えるシェアラウンジ併設店舗を増やしています。私どもはこうした店舗の形態のみならず、本の業界自体のあり方を変えていきたいんですね。そこでいま手掛けているのが、仕入れ改革です。紀伊國屋書店、日本出版販売と一緒に、データを使いながら、効率的な流通を追求しています。

佐藤 書籍の返品率は約4割です。再販制度(再販売価格維持制度)と委託販売で売れ残りを返品できる制度があるからですが、他の業界ではちょっと考えられない数字です。

高橋 従来の再販制度の枠組みでは、出版流通全体の利益率が上がらないので、TSUTAYAや蔦屋書店で蓄積したデータとAI、そこに書店員の皆さんの知恵を加えて、仕入れる本の冊数や販売戦略を適正化する。そしてさらには、私どもがリスクを取って、書籍を買い切りして販売することも考えたいんですね。

佐藤 いま、店舗数はどのくらいですか。

高橋 一時は1500店近くありましたが、900店ほどです。

佐藤 店舗の目標数はあるのですか。

高橋 当面、数を追うのはやめるつもりです。かつては3千店舗を目指していました。レンタル業はざっくり4万人1商圏といわれているんですね。もちろん都市部と地方では違いますが、1億2千万人を4万で割ると3千になり、それが目標となっていた。

佐藤 なるほど、そう考えるのですね。

高橋 ただ今後はレンタル店でなく書店ですから、本屋の商圏としてのマーケティングをしていかなければなりません。

佐藤 海外にも店舗がありますね。

高橋 中国、台湾に21店舗、マレーシアに1店舗あり、今度2店目ができます。ここは日本の文化輸出拠点になっていけばいいと思っています。また同時に世界中にある良質なコンテンツを輸入する拠点にできると面白いですね。

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