「韓国消滅」と慌てふためく韓国人…急激に落ちる出生率は“世界ワースト1” 日本への「上から目線」は続くのか

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慰安婦を言い続けるなら見捨てる

――今でも「エコノミックアニマル」などと言うのでしょうか。

鈴置:それはさすがに無理があります。経済面で韓国が勝ったとの言説と矛盾が生じます。私は「植民地支配を未だに反省しない日本」とのロジックで道徳的な上下関係を強調すると見ています。

 そもそも、「未だに反省しない日本」という理屈は、21世紀に入ったころから韓国の外交部が使い始めました。米国から「中国包囲網に加われ」と言われた際に「そうしたいのは山々だが、日本とは歴史問題があって共闘できない」との言い訳用に開発したのです。

 米国のアジア専門家はすぐにこの屁理屈を見抜きました。J・バイデン(Joe Biden)氏は副大統領だった2013年12月6日、「謝罪しない日本」を言い募る朴槿恵(パク・クネ)大統領に「米国の反対側[中国]に賭けるな」と言い放ったものです。

 2021年にバイデン政権が発足した直後から米国は韓国に「従中のために歴史カードを使うな」と通告しました。この辺を詳しく知りたい方は『韓国民主政治の自壊』第3章第2節「『慰安婦を言い続けるなら見捨てる』と叱った米国」をご覧ください。

 米国の怒りを感じ取った親米派の尹錫悦(ユン・ソンニョル)政権は歴史カードを放棄して見せました。ただ、韓国外交部はどさくさにまぎれ歴史カードを復活させようと狙っています。韓国が反米政権に戻れば、従中の言い訳が再び必要になるからです。

 韓国高裁の「日本政府は慰安婦に賠償せよ」との判決が確定した翌日の12月9日、外交部は「韓日の協力で解決する」とのコメントを発表しました。「2015年の慰安婦合意は尊重する」としつつも、日本に譲歩を求めることで慰安婦カードは手放さない姿勢を明確にしたのです。

小陰謀を見抜け

――実利からも「反省しない日本」が必要になるわけですね。

鈴置:その通りです。外交的にも必須ですし、国民の「上から目線」を担保するにも必要なのです。最近、左派、保守を問わず韓国紙が「日本は謝罪が足りない」と再び書き始めました。メディアも「歴史カード」の存在を改めて確認しておくのが国益と判断したのでしょう。

――韓国は面倒な国ですね。

鈴置:それはそうですが、隣の国だから付き合わないわけにもいかない。韓国が仕掛けてくる小陰謀や罠をちゃんと見抜いて対応していけばいいだけの話。「この政権となら組める!」などと入れ込むのが最悪――愚の骨頂なのです。

鈴置高史(すずおき・たかぶみ)
韓国観察者。1954年(昭和29年)愛知県生まれ。早稲田大学政治経済学部卒。日本経済新聞社でソウル、香港特派員、経済解説部長などを歴任。95~96年にハーバード大学国際問題研究所で研究員、2006年にイースト・ウエスト・センター(ハワイ)でジェファーソン・プログラム・フェローを務める。18年3月に退社。著書に『韓国民主政治の自壊』『米韓同盟消滅』(ともに新潮新書)、近未来小説『朝鮮半島201Z年』(日本経済新聞出版社)など。2002年度ボーン・上田記念国際記者賞受賞。

デイリー新潮編集部

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