キシダ退陣説に焦る韓国 「日本の食い逃げを許すな…」呼び捨てにされる最悪の後継候補は

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「女の安倍」を警戒

――韓国には茂木幹事長への警戒論があるのですね。
 
鈴置:高市早苗経済安保相への警戒論も語られ始めました。朝鮮日報の成好哲(ソン・ホチョル)東京特派員の「『女の安倍』高市大臣がまたも動き始めた」(11月17日、韓国語版)です。

 高市経済安保相が11月15日に党内の勉強会を立ち上げ、ポスト岸田を狙うと見なされたのをきっかけに書かれた記事です。成好哲特派員は「高市首相」に対し危機感を露わにしました。ポイントを翻訳します。

・高市のこの日の集まりには自民党内の強硬右派が顔をそろえた。高市は毎年2回、靖国神社に直接参拝する右翼の人士だ。高市は「首相になっても参拝する」と明らかにしている。自民党に入党した1996年以降、靖国神社への参拝をほとんど欠かさないと朝日新聞は報じている。
・高市は独島問題と関連しても「韓国にこれ以上、構造物を作らせない」と語り、日帝強占期の朝鮮人強制徴用も全面的に否認する立場だ。
・高市は「女の安倍」と呼ばれるほど、安倍の支持を受けて政治的に成長した。安倍政権では自民党政調会長と総務相を務め「日本初の女性首相」の座を狙った。2年前の総裁選挙では岸田、河野[太郎]に次ぐ3位だった。国会議員の票だけ見れば河野も抑えての2位。「右翼性向の国会議員」らが高市に票を投じてくれたのだ。

 なお、韓国の新聞業界には外国の政治家、ことに自分が嫌いな政治家には肩書を付けず呼び捨てにして大物記者ぶる人が多いのです。

「植民地だった過去」を消したい

――高市氏や茂木氏はなぜ、韓国に嫌われるのでしょうか。
 
鈴置:茂木警戒論の具体的な根拠を金玄基氏は書いていません。安倍政権の外相を務め、当時の文在寅政権に厳しく対したためだろうと、政界関係者は言います。高市氏に関しては成好哲氏は「右翼だから」とはっきり書いています。右翼は韓国にヘコヘコ謝ってくれません。

――中曽根康弘氏は韓国では人気がありましたが……。

鈴置:訪韓した初の首相だったからです。いわゆる「軍事独裁政権」当時の韓国をまともに相手する日本の政治家は「右翼」しかいなかったためでもあります。

 それにもうひとつ、「日本にヘコヘコ謝らせる」ことがますます必要になったからです。韓国は経済成長し、日本に匹敵する豊かな国になりました。国際社会での地位も急速に上がりました。

 すると、日本による植民地支配という歴史を否定したいとの思いが国民の間に強まりました。ただ、事実は変えようがありません。そこで「植民地支配は違法だった」と日本に認めさせることが国を挙げての目標になりました。

 大法院(最高裁)の自称・徴用工裁判での判決も「不法な植民地支配の下、日本企業で働かされた苦痛に対する賠償金を支払え」という論理構成になっています。もし、日本企業が賠償金を支払ったら「日本は植民地支配が不法と認めた」と主張できる仕掛けです。

 一方、日本では「これ以上、韓国に謝らない」を標榜する安倍氏が首相に就任した。謝罪しないぐらいですから植民地違法論など認めるわけがない。

 そこで韓国の政府もメディアも「アベのために韓日関係が悪化した」とのキャンペーンを張りました。日本の一部専門家もそれに雷同しました。が、国民からは冷ややかな視線で見られました。何度謝っても「まだ、謝罪が足りない」と言い張る韓国人や日本の専門家の怪しさに、普通の日本人も気付いたのです。

 韓国人の今の心情は、日本の首相がようやくアベからキシダに代わったのに「女のアベ」などに戻ったら元も子もない、というところなのです。

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