47歳夫がパパ友に抱いた“友だち以上の感情”が招いた大暴走「こんな混沌とした人生を送ることになるなんて」

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前編【結婚すると予定外の妊娠で退職した妻 47歳夫がその時、抱いた“疑念”は夫婦関係の終わりの始まりだった】からのつづき

 大村滋明さん(47歳・仮名=以下同)は叔父から継いだ会社を経営している。彼のよき理解者だった叔父は同性愛者で、しばしば滋明さんも交際相手に紹介された。滋明さん自身は、27歳の時に会社の同僚の紗絵さんと結婚。しばらくは仕事を優先させるようと夫婦で話し合っていたが、結婚して1年も経たずに紗絵さんは妊娠する。本当は仕事から逃げたかった、という彼女の本音を感じ取った滋明さんは、心が少し離れたという。

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 娘が3歳になったころ、妻は「また仕事する」とだけ言って再び仕事を始めた。ちょうど部署が変わって出張が減ったこともあり、滋明さんもできる限り、保育園に迎えに行ったり夕食を作ったりした。

「妻の様子がおかしくなったのは仕事を始めて半年後くらい。男ができたのかなと思っていましたが、それならそれでもいいという気持ちでした。妻が他の男とベッドにいるところを想像しても、あまり嫉妬がわいてこない。それが悲しかった」

 だったら自分も……とは思わなかった。娘との時間のほうがずっと大事だったし楽しかったからだ。娘が小学校に入ると、彼は積極的に保護者会などにも出席するようになった。妻は娘がパパッ子なのがおもしろくなかったのかもしれない。週末も仕事だと言って出かけることもあった。

「化粧も変わって妻はどんどんきれいになっていきました。そんな妻に僕はどう対処したらいいかわかりませんでした。近所でも妻が派手になっていくと噂されていたようです。それは小学校のパパ友である俊隆さんから聞きました」

パパ友にもった“微妙な感覚”

 同世代の俊隆さんとは、娘が小学校に入ってすぐ知り合った。彼は主夫で、妻はバリバリのキャリア女性だという。外資系の会社に勤めていて多忙だが、稼ぎはいいらしい。

「俊隆さんの人生も興味深いんですよ。シングルマザーで美容師の母に育てられた。母親は既婚の男性と恋に落ち、彼の子をみごもって自ら別れを告げたそうです。本当に愛した人だったといつも言っていたそうです。だから彼は結婚という形より、心から愛せる人と人生を歩みたいと思っていた。彼はバリバリ働く妻が大好きで尊敬しているんだと心から幸せそうに話すんです」

 そんな俊隆さんとはときどき飲みに行ったり、それぞれ子どもを連れて食事に行くこともあった。そうしているうちに滋明さんは、俊隆さんに対して微妙な感覚をもっていると自覚していく。

「男性に対して恋愛感情を抱いたことは過去にはなかった。でも俊隆さんには、ただの友だち以上の微妙な感じがありました。たとえば彼が他の保護者と話していると、それが男性であれ女性であれ、どこか憎らしいような不思議な気持ちになる。どうして僕を話してくれないんだ、と肩をつかんで揺さぶりたくもなった。それって恋愛感情に近いですよね。ただ、自分でもどう判断したらいいのかわからなかった」

 彼は混乱した。自分は叔父のように同性が好きなのだろうか。一生のうちで、時期を違えて女性が好きなときと男性が好きなときがあるような経験をしている人はいるのだろうか。

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