今さら敷地内に400億円「新体育館」を建設しても…日ハムに捨てられた「札幌ドーム」の苦境

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五輪招致は断念しても…

 2030年の冬季五輪招致を断念した札幌市。その後、秋元克広市長(67)とJOCの山下泰裕会長(66)が「34年以降の可能性を探る」と表明したものの、今度は国際オリンピック委員会(IOC)が30年大会と34年大会の開催地を同時に決める方針を表明し、34年大会の可能性も極めて厳しい状況だ。

 ジリ貧の札幌市だが、五輪招致を巡る動きの下で、今季から日本ハムファイターズが本拠地を移し、経営的に苦しんでいる市所有の札幌ドームが“新たな集客案”に向けて動き始めていた。札幌ドームの南ゲート側、羊ケ丘通に面した大型駐車場の一部を取り壊して、スケートリンクを有する新しい体育館を増設するというのだ。

「ドーム球場から2キロほど離れたところにアイススケート場として市民に開放されている月寒体育館があります。ここの老朽化が以前から指摘されていて、30年の五輪招致をにらみ、新しい施設の建設を目指していました。当初はドーム横にある国有地に建設する予定でしたが目途が立たず、ドームの駐車場に、新月寒体育館として造り直す予定です。2000席以上の通年型リンクと、約8400席の多目的アリーナを造る計画です」(地元メディア関係者)

 月寒体育館は、1972年の札幌冬季五輪でアイスホッケー競技の会場として使用された。現在は市民だけでなく、学校の部活動でも利用されるアイススケート場だが、築52年 ともなると、天井の一部がはがれ、断熱材が下がり、それをガムテープで抑えている箇所もある。「通年使用なのは有り難いが、夏になると外の空気が入ってきて、氷が解けやすい」といった苦情も利用者から届いていた。

 札幌ドームの敷地内に新体育館を造る件と五輪招致について、札幌市の秋元克広市長は会見で、

「体育館の整備は、札幌ドームの赤字とは別。老朽化した施設をどう更新していくか」

 と、関連性を否定した。とはいえ、新体育館の総工費はじつに約400億円。26年に着工し、28年の完成を目指すそうだが、地元財界からは、

「五輪関連となれば、約180億円の補助金が国から得られる。それを見越してだろう」

 との声も聞かれた。

「72年のオリンピックでは月寒体育館やスキージャンプ会場などのスポーツ施設だけではなく、札幌市営地下鉄や札樽自動車道などのインフラも整備されました。30年大会では築50年近くになった豊平区にある市営団地を取り壊し、選手村として建設したものを新たな団地にするといった計画もあったんです。新月寒体育館を造って、隣接する札幌ドームの集客計画も進展させたかったのでしょう」(前出・地元メディア)

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