今さら敷地内に400億円「新体育館」を建設しても…日ハムに捨てられた「札幌ドーム」の苦境

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札幌ドームは今?

 札幌ドームの現状について言えば、新体育館が建設される南ゲート前に「スケートボードエリア」が完成している。ウィール(タイヤ部分)がアスファルトに転がる音が響いている日もあるが、平日はほぼ“ガラガラ”状態だ。1451台が停められる駐車場も、“空き地”同然だ。この駐車場の約30パーセントを使って、通年型アイスリンクと多目的アリーナの新体育館を造るのは、確かに一案かもしれない。

 NPB関係者にこの話をしたら、こんな返事が。

「日本ハムが札幌ドームを本拠地にしていたころ、三塁側がホームチームのベンチで、一塁側がビジターチームとなっていました。通常はホームチームは一塁です。『三塁=ホームチーム』としたのは、駐車場に理由がありました。南ゲート側の先に一塁側ベンチがあります。通常、ホームチームが先に球場入りするので、一塁側をホームチームのベンチにしたら、あとから来たビジターチームはホームチームの着替えやミーティングをしている場所を横切ることになります。日本ハムが04年の札幌ドームに移転を実現させようとしていたころ、『三塁=ホームチーム』を認めてくれと各方面に働き掛けていました。その駐車場の一部がなくなることになりますね」

 04年に日本ハムが本拠としてから、札幌ドームが赤字になったのは、コロナの影響を受けた20年を入れて3回だけ。特に昨年は、日本ハムのチア・ファイターズガールが踊る「きつねダンス」が大ウケ。多くの観客が札幌ドームに足を運び、同年の「新語・流行語大賞」でトップテン入りしただけでなく、大みそかの紅白歌合戦にファイターズガールが出演するなど、一大ブームを巻き起こしたのは記憶に新しい。

 しかし、札幌ドームを日本ハム球団が使用していた痕跡も完全に消えようとしている。

 ドーム内を見てみると、フロア通路は「レッド&ブラック」。そう、Jリーグ・コンサドーレ札幌のチームカラーだ。通路の柱、窓側の壁にはコンサドーレの選手紹介や試合日程、応援のポスターが所せましと貼ってあった。昨季まで、日本ハム戦の行われる日はファイターズを応援するポスターが貼り出されていたが、北海道の空と海をイメージした「ファイターズブルー」はもうない。

「去年までは日本ハム戦がある日はファイターズを、コンサドーレの日は彼らを応援するポスターに貼り換えていました。ファイターズが去ってしまったので、ドーム内のポスターはレッド&ブラックをずっと貼ったまま。貼り換えの手間と経費がなくなった、と話す球場職員もいます」(前出・地元メディア関係者)

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