“望月衣塑子記者”を容認する「東京新聞」の社風…コラム連載中の「ネットニュース編集者」が見た実態とは

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話題性抜群の記者に

 旧ジャニーズ事務所の性加害問題を巡って開かれた、東山紀之社長と井ノ原快彦副社長らによる9月と10月の会見では、東京新聞の望月衣塑子記者が注目される存在となった。演説のごとく持論を述べた上で、バシバシと容赦ない質問を飛ばし、当てられていないのにマイクなしで質問したからだ。さらに、2回目の会見では「NG記者リスト」に同氏が含まれていたことでその後も話題となった。

 本稿では、東京新聞でこの11年半ほど週刊の連載コラムを担当し、同社社員とも多数交流のある私(中川淳一郎)が、なぜ望月氏がここまで注目されるのかを考えてみる。結論から言うと、私は望月氏のような社員記者は「アリ」だと思っているし、「ザ・サラリーマン記者」以外も所属できる会社の方が健全なジャーナリズムのあり様だと思う。

 私が初めて望月氏の名前を見たのは『武器輸出と日本企業』(角川新書)という201 6年7月発売の本だった。当時、たまたま角川と仕事をしていたため、編集者からもらったのだ。望月氏はその翌年から菅義偉官房長官(当時)の会見で何度も質問をしたり、持論を滔々と述べる記者として知名度を急上昇させていた。その後、リベラル派にとって望月氏は重要な存在になっていき、モリカケ問題でも菅氏を追及。のらりくらりとかわされることがほとんどだったが、望月氏はここで賛否両論ながら話題性抜群の記者となり、彼女が執筆した『新聞記者』(同)は、後に映画化もされる。

『ジャニーズ事務所会見、望月衣塑子記者が“大暴走”順番守れず井ノ原快彦がなだめる「落ち着いていきましょ」』(ORICON NEWS・10月2日)

落ち着いていきましょ

 望月氏と東京新聞に言及する前に、ジャニーズ会見絡みで望月氏に対して否定的論調で報じた記事タイトルを見よう。X(旧ツイッター)でもリベラル系ID以外は、いつも通り望月氏に対して批判が多かった。

『東山紀之の疑惑を望月衣塑子氏が追及 生中継で「陰部」「ソーセージ」飛び交う異常事態』(東スポWeb・9月7日)

『ジャニーズ会見「望月衣塑子記者の暴走」を見た東京新聞記者たちの本音「迷惑なんですが…上層部は問題にしていません」』(デイリー新潮・10月7日)

 特にオリコンの記事は詳しく会見時の望月氏の様子を描写し、さらにはこの記事を書いたライターの「やれやれ」的主観が滲む描写も複数ある。

〈続いて、東京新聞の記者でArc Timesのキャスターも務める望月衣塑子記者がルールを破るマイク無しで2連続質問を実施し、順番を守っていた他の記者からは白い目が向けられた。その後も“一社一問”というルールを無視して強引に質問しようとし、司会から「最初に申し上げております。一社一問でお願いします。お願いします。ご協力ください」と静止され、井ノ原快彦も「落ち着いていきましょ。じっくりいきましょ」と暴走する望月記者をなだめていた〉

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