遅刻、物忘れ、遺失…ネット上にはフワちゃんを心配する声が多数 発達障害の専門医はどうみているか

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マネージャーの役割

 ADHDの患者は「一つのことに寝食を忘れてのめり込む」という特徴もある。ADHDの可能性がある“偉人”や“天才”は枚挙に暇がなく、岩波氏はエジソンやモーツアルトが該当すると考えている。

 フワちゃんの場合、芸能活動が1人で完結していれば、また違った展開になったかもしれない。1人でネタを考え、YouTuberとして1人で動画を作成して成功を収めたのなら、遅刻も忘れ物も問題視されることはない。

 だがフワちゃんはテレビの世界でも人気者になった。こうなるとスタッフや共演者と協力して番組を作らなければならない。どうしてもADHDの特徴が周囲に迷惑をかけることになってしまう。

「ADHDの患者さんは、比喩的に言えば、1人で絵を描いて生活ができれば理想的です。そのため起業家がワンマン的に会社を経営する場合でも、同じ結果を生むことがあります。テスラやXを経営するイーロン・マスク氏(52)はADHDの可能性がありますし、楽天の三木谷浩史氏(58)は自身がADHDだと公言しています。ただし、こういうワンマン経営者は成功しているときは強いですが、経営方針を間違ってしまうと相当な痛手を被ることがあります」(同・岩波氏)

 岩波氏は「フワちゃんをサポートするマネージャーさんはいないのでしょうか?」と指摘する。過去の報道を見ても「マネージャーは現場にいなかった」とか、「マネージャーが愛想を尽かした」などの記事が散見されるが、実際のところはよく分からない。

高い社会的地位

「経済評論家の勝間和代さん(54)もADHDを公言しています。何度も対談させていただきましたが、忘れ物がかなりひどいそうで、それこそ買った切符もすぐになくすると仰っていました。では、どうやって勝間さんは仕事をこなしているかと言うと、何でも面倒を見てくれる優秀で献身的なマネージャーさんが傍についているんですね。勝間さんのために切符を買い、切符はちゃんと保管してくれる。フワちゃんもマネージャーさんが付きっきりでサポートしてくれたのなら、トラブルが激減してもおかしくありません。ただし、マネージャーさんの負担は相当なものになります」(同・岩波氏)

 先にADHDの患者には天才が多いことを紹介したが、外来を訪れる患者にも“社会的地位の高い人”は目立つという。

「ADHDの患者さんは興味があることには没頭しますし、集中力も図抜けています。勉学に向けられると好成績を残すので、医師、弁護士、メガバンクの行員といった患者さんは珍しくありません。大学を卒業して社会人になると、多くの患者さんは仕事で高い評価を受けます。ところが、会社が管理職に抜擢すると、評価が激変することがあります。管理職は自分の仕事、部下の世話、人事評価などマルチタスクが求められますが、ADHDの患者さんはこれが最も苦手なのです。管理職になるとミスや遅刻が目立つようになり、上司に勧められたり自分で異変に気づいたりして来院するケースは多いのです」(同・岩波氏)

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