遅刻、物忘れ、遺失…ネット上にはフワちゃんを心配する声が多数 発達障害の専門医はどうみているか

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発達障害は「総称」

 フワちゃんが、こうしたエピソードを披露するたび、ネット上では「発達障害では?」という指摘が増える。X(旧Twitter)で検索してみると、《フワちゃんは発達障害だと思うんだよなぁ》といった投稿が目立つ。

 XなどのSNSでは、確かに一時期はフワちゃんの遅刻を厳しく批判する投稿も目立った。これを一部の芸能人などが問題視し、「フワちゃんが視聴者に直接、迷惑をかけたわけではない」と苦言を呈することもあった。

 だが、SNSを詳しく見てみると、糾弾より心配する声も相当な数に上ることが分かる。《事務所が専門家と一緒にフォローしてあげないと》《外来で診察するのがいいと思う》という具合だ。

 ならば外来の診察経験が豊富な専門医に取材を依頼すると、どんな見解になるのだろうか。『発達障害』(文春新書)などの著書がある医師の岩波明氏は、東京大学医学部卒。都立松沢病院などで臨床経験を積み、ドイツに留学。2015年より昭和大学附属烏山病院の病院長としてADHD専門外来を担当している。

 岩波氏にフワちゃんの「失敗エピソード」についての見解をお願いすると、「まず『発達障害』という言葉は総称であることが重要です」と指摘する。

「そのため専門医が『発達障害』という診断を下すことはありません。総称ですから様々な疾患が含まれており、メインはASD(自閉症スペクトラム障害)とADHD(注意欠如・多動性障害)の2つです。そのほかに学習障害も含まれますし、広い意味では従来の知的障害が含まれることもあります。ASDの中心的な疾患である自閉症は、知的障害の比率が高いのです。このように様々な疾患が含まれていますから、特にマスコミの皆さんは『発達障害』と言い切ってしまう場合が多いわけですが、誤解を招きやすい表現だと言えます。そしてフワちゃんの場合、私の経験から申し上げますと、ADHDの可能性があると考えられます」

遅刻、忘れ物、遺失

 厚生労働省のe-ヘルスネットは、ADHDを《「不注意」と「多動・衝動性」を主な特徴とする発達障害の概念のひとつ》と定義した上で、特に子供の症例として以下の具体例を挙げている。

《「不注意(活動に集中できない・気が散りやすい・物をなくしやすい・順序だてて活動に取り組めないなど)」と「多動-衝動性(じっとしていられない・静かに遊べない・待つことが苦手で他人のじゃまをしてしまうなど)」》

「もちろん私はフワちゃんを診察したわけではありません。しかし、報道によると、遅刻、忘れ物、そして遺失が相当頻繁に起きているようです。また、出演したバラエティ番組を拝見しても、若手のお笑い芸人として求められている役割なのかもしれませんが、他の芸人さんのトークに対して被せるようにして喋っています。率直に申し上げて、落ちつきがない印象を受けます」(同・岩波氏)

「大人の発達障害」という表現が散見されるが、成人してADHDやADSを発症することはない。ADHDの場合、アメリカ精神医学会のDSM-5は「症状のいくつかが12歳以前より認められる」という基準を明記している。

 フワちゃんはインタビュー記事などで自身の幼少期を振り返っているが、その中にはADHDの可能性を窺わせるエピソードがある。

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