【巨人】阿部新監督に望むこと 忘れられない川上哲治監督の豹変【柴田勲のセブンアイズ】

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退任意向を固めたのは阪神優勝時か

 巨人・原辰徳監督が4日、東京ドームでのDeNA戦後に自ら退任を発表し、後任に阿部慎之助ヘッド兼バッテリーコーチが昇格すると明かした。

 まずは原監督、長い間、本当にご苦労様でした。3期通算17年間で1291勝1025敗91分け、2度の3連覇を含む9度のリーグ優勝、3度の日本一に輝いた。同一監督としては巨人史上初となる2年連続Bクラスに沈んだが、後ろ指をさされる成績ではない。立派なものだ。

 この日はシーズン最終戦、原監督は途中で投げ出すことなく、最後まで指揮を執って阿部に引き継ぎする形となった。

 来季は3年契約の3年目、続投の芽も少しはあったかもしれない。だが、私は阪神が優勝した時点で辞任の考えを固めていたと推察している。巨人の目標はあくまでもリーグ優勝であり、日本一になることだ。

 それが今季はただの一度も優勝争いに絡むことができなかった。勝率5割前後をウロウロするばかりで苦戦が続いた。

 9月29日、巨人・山口寿一オーナーが原監督の去就に触れて、「来季のことは真剣に考えなければならない。(任期途中の原監督の)契約についてどう考えるかも含めて真剣に考える必要がある」と語った。

 報道陣に聞かれたのだが、辞表を提出しなさいとも取れる。これで潮目が変わり、原監督退任への流れにつながった。こんな見方が有力だが、これはオーナーが報道陣に聞かれたから答えたまでのことで、原監督は前述したように、すでに責任を取る決意をしていたかもしれない。

巨人ナインにたたき込んでほしい「野球の基本」

 確かに今年、原監督の用兵・采配に関してはエッ?と疑問に感じることが多かった。巨人ファンからは原批判が噴出し、私の耳にも多数入った。これも契約を1年残した退陣の引き金になったことは否定できない。

 原監督は10月4日の本拠地での最終戦まで自分の去就を明らかにせず、最後まで責任を全うしたということなのだろう。

 原監督から阿部へスムーズにバトンが渡った。阿部は巨人では初の捕手出身監督となる。現役時代の実績は言うことなしだ。「打てる捕手」と攻守で活躍した。

 20年から2年間2軍監督を務め、直近2年間は原監督の近くで采配・作戦面を見続けてきた。いい面も悪い面も分かっている。

 阿部が原野球を継承するのか、それとも阿部野球を打ち出すのか。それはこれからだが、是非「野球の基本」を巨人ナインにたたき込んでほしい。

 巨人は今季、阪神に6勝18敗1分、広島には8勝17敗と大きく負け越した。これがBクラス転落の大きな原因の一つなのだが、戦力面でそれほどの差はない。

 では何が明暗を分けたのか。それは基本の反復があったかどうかだと思う。

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