累計5000万部超の人気漫画家「赤松健参院議員」が語る、日本が国を挙げて“漫画の原画”を守るべき理由

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 今年5月、マンガ原画・関連資料の保管を目指す「一般社団法人マンガアーカイブ機構」の設立が発表された。本部を秋田県にある「横手市増田まんが美術館」におき、漫画家や出版社の相談を受け、原画の収蔵に関するアドバイスや原画保存のネットワークづくりを目指すという。
(取材・文=山内貴範)

なぜ今、漫画の原画保存の動きが起こっているのか?

 また、文化庁は来年度から日本の漫画の原画やアニメのセル画の収集に乗り出すと、8月14日付の読売新聞が報道した。こうした動きが相次ぐ背景には、近年、日本の漫画やアニメが世界的な人気を集め、なかでも原画やセル画が高額で取り引きされている事情があるという。

 そう聞くと、今年に入って急に、漫画の原画やアニメのセル画の保存に関する話題が盛り上がりを見せているように思える。しかし、かつて日本漫画家協会の理事長を務める里中満智子氏らが推進していた「国立メディア芸術総合センター」の計画は、民主党政権下で頓挫した。一度見直しとなったものと類似する施設が改めて立ち上がっていることに、疑問を抱く声もある。

 また、漫画家や漫画好きの間にも、「原画を残す必要はあるのか」という意見を持つ人は意外に多い。様々な議論が飛び交う中、『ラブひな』や『魔法先生ネギま!』などの人気作を手がけ、現役の漫画家として初めて参議院議員となった赤松健氏は、原画の保存を積極的に支援すると公言している。漫画の原画を保存する意義はどこにあるのか、話を聞いた。

漫画家の立場から原画保存をこう考える

――漫画の原画を保存するため、国や自治体が動き出しています。赤松さんは漫画家の立場からどのように見ていますか。

赤松:歓迎していますし、「国立メディア芸術センター」が「国営漫画喫茶」と揶揄された時代よりは理解が進んだなあと思います。近年、漫画の生原稿の保存施設が増え、原画展も各地で行われるようになりました。地域おこしに漫画の力を使いたいという動きも増えてきましたよね。だから、当時よりは国民の理解を得やすいのではないかと思います。

――こうした動きが起こってきたのは、赤松さんが議員になったことも何か影響を与えていたりするのでしょうか。

赤松:いえ、私が影響を与えたというより、時代的な変化だと思います。私は国会議員として官僚のみなさんと話をするんですが、かなり世代交代というか「オタク化」が進んでいると感じます。最近は、相当真面目な省庁でも『ラブひな』や『魔法先生ネギま!』を読んでいたという世代が多数を占めるようになってきました 。レクの時に、私を見て明らかにワクワクしている官僚が結構いまして、間違いなく元読者ですね。

――「横手市増田まんが美術館」は、出版社と協力して原画の収蔵を進めていくと発表しました。ただ、同館の大石卓館長も話しているように、キャパは限界があり、際限なく受け入れていてはすぐ満杯になると予想されます。

赤松:現在、漫画家の原稿はデジタルが主流になっている影響もあって、アナログの生原稿はあまり増えなくなりました。私の希望としては、有名、無名を問わず、あらゆる漫画家の原稿を等しく集めていくべきだと思います。東京では土地代などの問題から難しいかもしれませんが、地方なら比較的土地が空いています。廃校などを活用するのも、一つの手段としていいのではないでしょうか。

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