Netflix「ONE PIECE」が世界的人気を獲得した本当の理由 マンガ実写化の「タブー」を打ち破った3つの“禁断の実”

エンタメ

  • ブックマーク

Advertisement

 8月31日に配信されたNetflixの実写ドラマ「ONE PIECE」が快進撃を続けている。週間ランキングの初週4日間で世界1位(英語シリーズ)を記録し、1850万ビューを実現。3週目に入ってもトップをキープし、累計で4780万ビューを達成した。配信から2週間後には早くも「続編制作が決定」とファンを驚かせた。世界から称賛された裏にある“3つのヒミツ”を解き明かす。【数土直志/ジャーナリスト】

 ***

 Netflixのグローバルランキングは「シリーズ(英語)」「シリーズ(非英語)」「映画(英語)」「映画(非英語)」の4つに分かれるが、2週目の「ONE PIECE」は他の3部門の1位が獲得した数字を大きく引き離し、ランキング全体で見ても首位を独走。続く3週目も1位をキープとロングランの様相を見せ、まさに「世界的な大ヒット」となっている。

 数字だけでなく、作品への評価も高いのが「ONE PIECE」の特徴だ。映画/ドラマレビューサイト大手「ロッテン・トマト」では、批評家レビュースコアが85%、視聴者レビューでは1万以上の評価の平均で「Netflix史上最高」となる評価スコア96%を獲得した。

 尾田栄一郎氏原作の国民的マンガ「ONE PIECE」は、海賊王を目指す少年ルフィが仲間の“麦わらの一味”とともに「ひとつなぎの大秘宝(ワンピース)」を求めて大海に乗り出し、冒険を繰り広げるファンタジーだ。

「週刊少年ジャンプ」での連載開始は1997年。それから26年が経ち、現在の単行本の累計発行部数は全世界で5億部を超え、アニメシリーズとともに世界中で人気を誇る。昨年の劇場映画「ONE PIECE FILM RED」のメガヒットも記憶に新しく、文字どおり、日本のエンタメを代表する作品といえる。

当初は「不安の声」も

 その人気の“大波”がアメリカの実写映画界にも押し寄せ、今回の企画が実現。巨額の制作予算とともに、放送開始にあたって世界10都市でイベントを開催するなど、Netflixの本作への力の入れようも話題となった。

 しかし17年に「週刊少年ジャンプ」が初めて、米製作会社トゥモロー・スタジオとともに「ONE PIECE」の実写ドラマ化を発表した時には、多くのファンが驚きと喜びとともに、秘かに不安も抱いていた。

 背景には、過去の日本発の人気マンガやアニメが、アメリカで映画・ドラマの形で実写化された際、確実に「成功した」といえる作品がほとんどないという事情があった。

 09年にジャンプの人気作品「ドラゴンボール」を原作とした実写映画「ドラゴンボール・エボリューション」が全米公開されたが、作品への評価は低く、興行成績も低迷。また17年公開の米女優スカーレット・ヨハンソン主演による映画「ゴースト・イン・ザ・シェル」(原作「攻殻機動隊」)は、ハリウッド・メジャーによる「大作」の触れ込みだったが、製作資金を回収するまでには至らなかったとされる。そしてもう一つ、懸念された「前例」があった。

次ページ:原作との「距離感」

前へ 1 2 3 次へ

[1/3ページ]

メールアドレス

利用規約を必ず確認の上、登録ボタンを押してください。