Netflix「ONE PIECE」が世界的人気を獲得した本当の理由 マンガ実写化の「タブー」を打ち破った3つの“禁断の実”

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「シーズン2」への期待

 成功の最後の要因は制作予算だ。海外で実写化される日本のマンガやアニメといえば、SFやファンタジー系が多いことで知られる。ただし、それを「実写」で表現するとなると最新のVFXをはじめ、巨額の制作費が必要になる。国内では限界がある予算面も、世界マーケットを前提としたハリウッドやNetflixなら可能となる。

 正式には発表されていないが、米メディアは「ONE PIECE」の制作費に関して「約60分の1エピソードで数十億円」と報じている。全8話であれば、ハリウッドのブロックバスター(大作映画)並みの額になる。

 それでも配信開始から18日間で世界4850万ビューを獲得し、Netflixからすれば大成功だ。日本でも「ONE PIECE」を観るために「新たにNetflixに加入した」という人も少なくないと聞く。

 最後に気になるのが、シリーズの今後の展開だ。人気も評価も絶好調で、配信からわずか2週間あまりで第2シーズンの制作が発表された。配信直後の第2シーズン決定は、Netflixのなかでも大ヒット作のみに許された“トロフィー”である。

 原作者でエグゼクティブ・プロデューサーの尾田栄一郎氏は、ファンへの感謝を伝えるとともに「脚本が出来上がるまでまだまだ時間がかかりますので気長にお待ちください」とファンにメッセージを送る。実写ドラマ「ONE PIECE」の“航海”はまだ始まったばかりだ。

数土直志(すど・ただし)
ジャーナリスト。メキシコ生まれ、横浜育ち。アニメーションを中心に国内外のエンターテインメント産業に関する取材・報道・執筆を行う。大手証券会社を経て、2002年にアニメーションの最新情報を届けるウェブサイト「アニメ!アニメ!」を設立。また2009年にはアニメーションビジネス情報の「アニメ!アニメ!ビズ」を立ち上げ、編集長を務める。2012年、運営サイトを(株)イードに譲渡。2016年7月に「アニメ!アニメ!」を離れ、独立。

デイリー新潮編集部

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