“気楽な一人住まい”でまさかの孤独死を防ぐには 特に高齢者が守るべきポイント4つ

ドクター新潮 ライフ

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電気代が…とケチなことは言わずにエアコンを

 2020年の国勢調査(総務省)によると、世帯数が1人の「単独世帯」は2115万1000世帯と約38%。そのうち、65歳以上の高齢者は31.3%だった。気楽な一人住まいを堪能する人もいるが、環境衛生に詳しい中原英臣医師はその気楽さがもたらす状況に警鐘を鳴らす。

「長寿、健康の大原則は日々の食生活です。その点、一人住まいの人は、どうしても食生活が疎かになり、そのために様々な病気を誘発、加速させ、結果、大切な寿命を短くしてしまう」(中原英臣医師、以下同)

 先だって、これから迎える猛暑。まず一人住まいで気を付けたい病気は「熱中症」である。しかも今年は、異常気象の原因とされる「エルニーニョ現象」が4年ぶりに発生。気象庁は、今夏は猛暑日が増えると発表した。

「熱中症」の主な症状はフラフラする、だるい、顔が火照る、目まいがするなどだが、これを甘く見ていると、生命の危険が伴う。

「熱中症は野外で発生するというイメージですが、室内でも十分に起こります。特に、体温調節機能が低下している一人住まいの高齢者は、室内の温度に対する周囲の指摘が得にくく、さらには熱中症になっても看病をしてくれる人がいません。そのために重症化して、救急車で搬送されるケースも多くなります」

 総務省消防庁が公表している「全国の熱中症による救急搬送(令和5年6月5日~6月11日の速報値)」によると、搬送された900人のうち満65歳以上の高齢者は51.0%。以下、18~64歳が24.1%、7~18歳が23.1%と続く。発生場所は28.6%で住居がトップだ。

 熱中症に罹患する要因は、その日の体調によるものも大きいが、基本は気温の上昇と風通しの悪さである。

「熱中症の予防策は、室内環境を常に整えておくことです。まずは、住まいの風通しを良くするために窓を開けること。そして暑さを感じたら、電気代がかかるとケチなことは言わずに、水を飲みながら冷房のスイッチを直ちに入れることです。部屋にエアコンがなければ積極的に購入し、自分の命を守りましょう」

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