レッド・ツェッペリンの初来日ライブで観客が殴り合い、ジミー・ペイジの宿泊先に突撃取材…「ミュージック・ライフ」元編集長が語る“伝説のミュージシャン”
かわいいけど凄腕のエドワード・ヴァン・ヘイレン
一方で、1977年に初来日を果たしたキッスには、プロ根性を見せつけられたという。
「人前で絶対に素顔を見せないし、撮らせない。初来日の時も、飛行機から出てきたらあの顔でしたからね。到着までに機内でメイクしたのかしら。ベースのジーン・シモンズは天才です。ただ舌を出すだけのオジサンじゃないんですよ。彼らは世界的に売れてからは、アニメのヒーローのような奇抜な衣装とメイクでポップな曲を演奏していましたが、もとはニューユークのカルトバンドだった。それを変えたのがジーン・シモンズですよ。見事な演出というのか、完成されたプロフェッショナルでしたね」
1978年、デビューアルバム『炎の導火線』を引っ提げてヴァン・ヘイレンが来日する。2020年に死去したギターのエドワード(エディ)・ヴァン・ヘイレンの超絶技巧ともいえるギターテクニックは、多くのファンを魅了した。
「アメリカではボーカルのデイヴィッド・リー・ロスのようなマッチョマンがセクシーと言われますけど、日本の女の子からは総じてNGなんです。それよりも、隣でニコニコしながらそれでいてギターが物凄く上手いエディのほうが“かわいい!”と人気に火がつくんです。これはイケると思ってプッシュしましたよ。案の定、彼らも日本で大人気になって。でも、デイヴィッドも仕切り屋としては極めて優秀でね。こちらの無理難題にも“わかった、じゃあこうしよう”とパッパッと決めて段取りを組んでくれました。デイヴィッドの言うことにメンバーは皆、従うんですね。あれは助かったな」
そして1979年4月号から、東郷さんはいよいよ4代目編集長に就任する。
(後編に続く)