【米女子ゴルフ】デビュー戦で優勝の「ローズ・チャン」 ハプニングにも動じない大学中退20歳の新星

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ハプニングにも動じず

 ローズ・チャンという名前を「どこかで聞いた気がする」という日本のゴルフファンも少なくないのではないだろうか。

 チャンは今年4月のマスターズ開幕前に開催されたオーガスタ・ナショナル女子アマチュア選手権に、スタンフォード大学に籍を置く大学生ゴルファーとして臨み、見事、勝利を挙げた。

 これまでチャンが獲得したタイトルは数限りない。主要なところでは、2020年の全米女子アマチュア選手権、2021年の全米女子ジュニア選手権、2022年と2023年には全米カレッジゴルフのNCAA(全米大学体育協会)ディビジョン1で史上初の個人戦連覇を達成。そして今年、オーガスタ・ナショナル女子アマチュア選手権でも優勝し、彼女が挙げたこれらの実績は「女子アマチュアゴルフ界のグランドスラム達成」と呼ばれている。

 将来を嘱望され自身も「早くプロの世界で戦いたい」と考えた彼女は、5月24日の20歳のバースデーに大学を離れ、プロの道へ進むことを決めた。

 ミズホ・アメリカズ・オープンからスポンサー推薦をオファーされたチャンは、「自由の女神」がコース上からよく見えるリバティ・ナショナル(米ニュージャージ―州)でプロデビュー戦を迎えた。

 初日の1番ティには、スタンフォード大学の大先輩で同大会の大会ホストを務めるミッシェル・ウィをはじめゴルフ関係者やメディアが大勢集まり、その様子を目にしたチャンは「こんなに朝早くから、こんなにたくさんのギャラリーがいるなんて、どうしよう?」と新人らしい言葉を口にした。

 スタート時のアナウンスでは名前を勘違いされ、ファースネームとラストネームが逆になった「チャン・ローズ!」と紹介されてしまうハプニングにも見舞われた。

 だが、チャンはそうした予想外の出来事にはまったく動じることなく、安定したゴルフで初日70をマーク。2日目は69の見事なプレーで予選通過を果たすと、3日目は66で首位に浮上した。

 しかし、最終日はさすがにプレッシャーを感じたのか74とスコアを落とし、メジャー・チャンピオンであるジェニファー・カップチョとのサドンデス・プレーオフにもつれ込んでしまったが、2ホール目をパーで収めたチャンがボギーを喫したカプチョを下し、デビュー戦でいきなり初優勝を挙げた。

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