とにかく明るい安村 イギリスで“全裸ポーズ芸”はなぜ大ウケしたのか

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「実力を世界に見せつけた」という手応えを感じる理由

 日本人のお笑い芸人の世界進出と言えば、記憶に新しいのが「ピコ太郎」のケースである。芸人の古坂大魔王がプロデュースする謎のキャラクター・ピコ太郎の「PPAP」という短いネタ動画が、2016年になぜか世界中で大ヒットして、彼は一気にワールドクラスのエンターテイナーへと駆け上がっていった。

 そんなピコ太郎に続く存在になるのではないかと注目されているのが、ピン芸人の「とにかく明るい安村」である。先日、彼がイギリスの人気オーディション番組「ブリテンズ・ゴット・タレント(Britain's Got Talent)」に出演したことが話題になった。

 下着だけの半裸で颯爽と舞台に現れた安村は、かつて日本でも一世を風靡した「全裸ポーズ」のネタを披露した。途中の台詞は英語にしていたし、設定もイギリス人に理解しやすいものに変えていた。「安心してください。はいてますよ」という決め台詞は「Don't worry. I'm wearing」と言い換えられていた。しかし、基本的なネタの構造は日本でやっているのと同じだった。

 この世界的な大舞台で、安村のネタは見事に大爆笑を起こした。審査員全員が大絶賛のコメントを残し、観客は総立ちになって惜しみない拍手を送った。誰がどう見ても文句なしのウケ具合だった。安村自身もTwitterで「人生で一番うけたよ!」と振り返っていた。

 彼のパフォーマンスを収めた動画は、「ブリテンズ・ゴット・タレント」のYouTubeチャンネルで公開されている。この動画を見ると、多くの日本人は内なるナショナリズムをくすぐられて、どこか誇らしいような感情を抱くのではないか。WBCで活躍する大谷翔平を見るときのように「日本人がその実力を世界に見せつけた」という確かな手応えを感じるはずだ。

 なぜ多くの人がそう思えるのかというと、安村のネタが日本のお笑い界におけるマスターピースであり、その面白さの本質がそのまま外国でも通用する、ということが証明されたからだ。

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