中国が尹錫悦をムチ打ち始めた 米中半導体戦争で繰り出した「4つのNO」

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中韓、どっちもどっちだが……

――中韓どちらが本当のことを言っているのでしょうか。

鈴置:分かりません。両国とも、自分の都合のいいように捻じ曲げて発表する国だからです。韓国でも「どっちが本当なのか」と問題になりました。

 朝鮮日報の「中国、焦ったか…『韓国と半導体協力強化』と一方的に発表」(5月30日、韓国語版)によると、産業通商資源部の関係者は次のように説明しています。

・半導体のサプライ・チェーンに関し具体的な話はなかった。中国側の半導体分野での協力要請に対し「今後、実務間協議での議論が必要だ」と答えたところ、[中国側が]一方的に歪曲して発表した。

 ただ、仮に韓国側の説明が真実としても、韓国は「穴埋めしない」とは言っていません。むしろ「実務間協議」などと中国側に気を持たせる答をしているのです。

 そもそも韓国政府は「企業が決めること」と穴埋めを黙認する姿勢もチラつかせています。東亜日報の「米中、三星電子とSKハイニックスの対応に注目」(5月24日、日本語版)が報じています。

・産業通商資源部の張瑛眞(チャン・ヨンジン)第1次官は[5月]22日、「政府が(企業に)あれこれ言える事項ではなく、企業が判断する問題だ」と述べた。政府が実際に米国から要請を受けたとしても、企業に中国販売制限を要請するのに難色を示したのだ。

G7の後、挙動不審の韓国

 実は、G7首脳会議の拡大会議以降、尹錫悦政権はかなり挙動不審なのです。大統領室の関係者はG7首脳会議で創設を決めた経済安保を協議する仕組みに関し、5月20日に広島で、韓国の記者団に以下のように語りました。

 NEWSISの「大統領室『中国を含む特定国の経済報復に備える協議体に加担せず』」(5月21日、韓国語)から引用します。

・中国を含む特定国家の経済的な威圧や報復措置に備え、特定国家が作る何らかの協議体に韓国が加わった事例はなく、今後も計画はない。
・(G7の経済安保に関する共同文書に)「中国リスクを減らし、サプライ・チェーンのルートを多様化するためG7で調整プラットフォームを作る」との文章がある。韓国が入るかだが、これはG7国家間の結果と分析である。

 調整プラットフォームはG7が決めたことだから関係ない、と言い放ったのです。韓国はほかの国に比べても産業資材の供給を中国に頼る比率が高い。当然、大喜びして加盟すると思われたのに拒否した。半導体で米中板挟みが激しくなる今、中国から「米国寄り」と見なされるのを恐れたのでしょう。

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