斉藤由貴、沢口靖子、上白石姉妹…第1回は1984年なのに9回しか行われていない「東宝シンデレラ」オーディションの秘密

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少女たちの成人後の姿を読み通す

 ブランドを築き上げた主な出身者をあらためて見てみたい。第1回(1984年)グランプリは沢口靖子(57)、同・ファイナリストは斉藤由貴、第2回(1987年)審査員特別賞は水野真紀(53)、第4回(1996年)審査員特別賞は田中美里(46)、第5回(2000年)グランプリは長澤まさみ(35)だった。

 第7回(2011年)は多彩。グランプリは上白石萌歌、同・審査員特別賞は上白石萌音(25)と山崎紘菜(29)、ニュージェネレーション賞は浜辺美波、第8回(2016年)のグランプリは福本莉子(29)である。

 昨年の第9回は応募総数が1万2701人。ほかの大手芸能事務所によるオーディションは3万人から10万人以上も集まることがあるので、意外と少ない。もっとも、「東宝シンデレラ」オーディションはブランド化しているから、応募総数は少なめでも逸材を集めやすい。

 応募時に10歳で小5だった萌歌の場合、郷里の鹿児島県内で幼稚園時から習っていたミュージカルスクールの教師から勧められた。姉の萌音(25)も同じ教師にミュージカルを習っていた。最初に受験を勧められたのは萌音。こちらは当時、12歳で中1だった。

 ミュージカルの講師は演技と歌の熟練者だ。2人なら合格すると考えたから受験させたのだろう。なにより、東宝「シンデレラ」オーディションの実績を知っていて、さらに信頼感を抱いていたので勧めたはず。そうでなかったら、まだ10歳と12歳の教え子を東京の芸能界に送り出さない。ブランドの力である。

 同じく第7回の浜辺の場合、応募時は10歳で小5。新聞広告でオーディション開催を知り、自分で書類を書いて提出した。オーディションへの応募は初めてだった。

 それどころか、当時の浜辺は芸能界には興味がないと話していた。にもかかわらず、受けてみようと思わせたのだから、これもブランド力にほかならない。

 審査員たちの眼力もこのオーディションの特徴の1つ。合格時にローティーンだった長澤も萌歌も浜辺も体格から顔立ちまで今とはまるで違った。

 長澤は1メートル59だった身長が、1メートル69に伸びている。萌歌は1メートル52から1メートル63に。浜辺は1メートル49が1メートル57になった。

 顔立ちもそう。浜辺の場合、西洋人形さながらの超美形だったものの、現在とは似つかないほど違う。どうやって成人後の姿を見通すのか。

「手足の長い子を選ぶ」と聞く。将来、背が伸びるのだそうだ。また「目の美しさを見る」とも言われる。確かに目の大きさや力は年齢を重ねてもあまり変わらない。

 もっとも、手足や目に注目しての選考はほかのオーディションもやっている。やはり合宿選考まで行い、審査に時間をかけているから、本人の将来まで読み通せるのだろう。応募者も長期間の審査に臨む価値があると考えている。

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